2007 Fiscal Year Annual Research Report
癌抑制遺伝子SFRPによる口腔癌の悪性度診断と治療への応用
Project/Area Number |
18592223
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
平塚 博義 Sapporo Medical University, 医学部, 教授 (50165180)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮崎 晃旦 札幌医科大学, 医学部, 講師 (10305237)
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Keywords | 癌 / ゲノム / シグナル伝達 / 歯学 |
Research Abstract |
本研究は、口腔扁平上皮癌(OSCC)におけるSFRP(secreted frizzled-relatedprotein)遺伝子ファミリーのエピジェネティックな異常およびWntシグナル経路の異常を解析したものである。 OSCC細胞株17株のすべてにβ-catenin蛋白の発現を認め、そのうち14株ではβ-cateninの核および細胞質局在を認めた。しかし一方で、CDH1遺伝子の発現はすべての細胞株でみられると同時にメチル化は検出されず、またAPC,CTNNB1遺伝子変異も認められなかったのに対し、すべての細胞株で複数のWnt遺伝子の発現が認められ多くのWntリガンドか発現していることが確認された。すなわち、OSCCにおいてWnt関連遺伝子の変異なしにβ-cateninの核および細胞質局在を認めたのである。一方、SFRP1,SFRP2およびSFRP5のメチル化は細胞株の41%,94%および14%に認められた。すなわち、SFRP遺伝子ファミリーが高頻度にメチル化され、発現が低下または消失していることが明らかとなった。さらにSFRPファミリーの遺伝子導入により、増殖が抑制されることがコロニーフォーメーションアッセイを用いた検討で明らかとなった。したがって、APC,CTNNB1およびAXIN遺伝子変異がみられないOSCCにおいては、SFRPの異常メチル化がWntシグナル活性化の重要な要因であると考えられた。 以上の所見より、SFRP遺伝子ファミリーはOSCCの悪性度診断および治療において重要な分子マーカーとなることが示唆された。
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