2008 Fiscal Year Annual Research Report
FGF10が下顎器官形成に果たす役割に関する分子発生学的研究
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18592229
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高橋 美嘉子 Tohoku University, 大学院・歯学研究科, 大学院非常勤講師 (60241642)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 一郎 東北大学, 大学院・歯学研究科, 准教授 (70241643)
寺尾 文恵 東北大学, 病院, 医員 (10510018)
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Keywords | 器官形成 / FGF10 / 器官培養 / 下顎隆起 / 遺伝子導入 |
Research Abstract |
ヒトの顔面骨格は、発生から生後の成長発育を経て形作られる。歯科矯正学の分野では、胎生期から成長期にかけて顎顔面に現れる種々の形態異常にともなう不正咬合の原因とその発症のメカニズムを解明することが重要である。本研究では、まず、ラット胎仔下顎隆起の器官培養系にエレクトロポレーション法による遺伝子導入法を適応することにより、局所における目的遺伝子の一過性発現を誘導する方法を確立した。次に、下顎隆起間葉内に発現するFibroblast growth factor 10(Fgf10)は、メッケル軟骨および下顎の形態および長さを決定する因子の一つであるという仮説を立て、Fgf10遺伝子を部位特異的に過剰発現させることにより、メッケル軟骨の分化・形態形成におけるFGF10の役割を発生学的、分子生物学的、および遺伝子組織化学的に検討した。その結果、胎齢12日の下顎隆起において、側方部にFgf10を強制発現させた時にのみメッケル軟骨の形態に影響与え、長軸方向の長さを増大させた。一方、中央部に強制発現させたときにはこの変化は認められなかった。また、この形態の変化の過程では軟骨細胞分化を制御する転写因子であるSox9の遺伝子発現の上昇が認められた。さらにFGF10タンパクは下顎隆起側方部由来の細胞の軟骨細胞分化を促進した。これらの変化は、下顎隆起に発現しているFGF受容体によって仲介されているものと考えられた。これらのことから、FGF10は胎生期下顎隆起において領域特異的にメッケル軟骨の形態および大きさを制御しているものと推察された。また、下顎器官培養法にエレクトロポレーションを用いた遺伝子導入システムの確立により、顎顔面の形態形成のメカニズムを解明することが可能となり、矯正歯科医療における診断法・治療法の開発に貢献ができるものと考えられる。
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Research Products
(3 results)