2006 Fiscal Year Annual Research Report
歯垢形成を増強するクオラムセンシングの解明とその抑制によるう蝕予防法の開発
Project/Area Number |
18592243
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
星野 倫範 長崎大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助手 (00359960)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 卓 長崎大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 教授 (00228975)
齋藤 幹 長崎大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (40380852)
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Keywords | ミュータンスレンサ球菌 / クオラムセンシング / オートインデューサー / ミティスグループレンサ球菌 / コンピテントスティミュレーティングペプチド / ペプチド核酸 |
Research Abstract |
齲蝕の原因となる歯垢は、歯面に成立したバイオフィルムである。このバイオフィルムは、ミティスグループレンサ球菌などの早期にヒト口腔内に定着するレンサ球菌が産生した菌体外多糖(グルカン)を足がかりとし、さらにミュータンスレンサ球菌が定着することによって形成される。バイオフィルムは、環境の変化、宿主の免疫等の侵害刺激からの防御壁となっており、齲蝕の発生に大きく関与する。このバイオフィルム中で、細菌はホルモン様伝達物質、オートインデューサー(AI)を放出し、菌種間で互いにコミュニケーションを取って細菌の密度を一定に保ったり、免疫に対抗する集団を形成したりすることで共生し、この現象はクオラムセンシングと呼ばれている。 今年度、我々は、歯垢形成に関わるミュータンスレンサ球菌が産生する酵素グルコシルトランフェラーゼ(GTF)に注目し、この酵素の産生に影響を与えると考えられる因子は何かを検討した。その因子の候補として、唾液IgA、スクロース以外の糖を考え、これらを人工バイオフィルム中のStreptococcus mutansに投与し、GTFの産生量、酸産生がどう変化するかを観察した。その結果、現段階では、ラクトースがスクロースやグルコースなどの糖とは異なり、酸産生をあまりしないという動態までは明らかにした。この結果は、第24回日本小児歯科学会九州地方会にて報告した。今後はリアルタイムRT-PCRなどを利用してGTFの産生量等のmRNAレベルでの発現量など詳細に検討する予定である。 その一方で、データベース検索から、クオラムセンシングに直接影響を与えるコンピテントスティミュレーティングペプチド(CSP)を同定し、この因子が細菌細胞内に侵入できる特徴を利用して、アンチセンス効果を利用したペプチド核酸(PNA)によるGTFのサイレンシングを計画した。これに関しては、CSP-PNA結合体を作成中であり、今後GTFの産生抑制能を検討する予定である。
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