2008 Fiscal Year Annual Research Report
幼少期の身体抑制ストレスが成長後の中枢神経系に与える影響に関する統合的理解
Project/Area Number |
18592246
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
吉原 俊博 Hokkaido University, 病院, 講師 (60261319)
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Keywords | 身体抑制ストレス / 中枢神経系 / ストレス反応性 / ラット |
Research Abstract |
幼少期のストレスは動物に対して、ストレスを受けた時期だけではなく、その後長期にわたり中枢神経系に様々な影響を与えることが報告されている。しかし幼少期のストレスとして、身体を抑制することによるストレス(以下、身体抑制ストレス)が成長後のストレス反応や行動にどのように影響するかを調べた研究はない。 そこで本研究では、実際の歯科治療を想定し、抑制具を使用する身体抑制法がラットの成長と成長後のストレスに対する視床下部-下垂体-副腎皮質系の反応を調べ、そのメカニズムを考察した。 平成20年度は出生直後の身体抑制ストレスが成長後のラットの室傍核カテコールアミンニューロン活性とCRHmRNA発現量にどのように影響しているかを調べるために、以下の実験を行った。 出生直後より1週間、毎日30分間の身体抑制ストレスを負荷する群および対照群の2群に対し、出生から3か月後に新奇環境ストレスを負荷して、in vivo microdialysisにより視床下部室傍核周囲の細胞外液を採取し、外液中のカテコールアミン量を高速液体クロマトグラフィーにて測定した。さらに、各ラットを断頭し、直ちに脳を採取し凍結ミクロトームを用いて室傍核を含む連続切片を作製し、in situ hybridyzationによりCRHmRNAの発現を検出した。その結果、出生直後より1週間、毎日30分間の身体抑制ストレスを負荷する群では室傍核カテコールアミンの放出とCRHmRNAの発現が亢進していることが示された。この結果より、出生直後に身体抑制ストレスを経験したラットでは成長後のCRHmRNAの発現が亢進しており、それには室傍核カテコールアミンが促進的に関与していることが示唆された。
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Research Products
(5 results)