2008 Fiscal Year Annual Research Report
フッ素が幼児の口腔内細菌叢と齲蝕原性細菌に及ぼす影響
Project/Area Number |
18592253
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
内川 喜盛 The Nippon Dental University, 生命歯学部, 准教授 (00176679)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古西 清司 日本歯科大学, 生命歯学部, 教授 (20178289)
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Keywords | 幼児 / フッ素イオン濃度 / 唾液 / 齲蝕経験 / 齲蝕原性細菌 / 口腔衛生習慣 / フローインジェクション法 / 齲蝕予防 |
Research Abstract |
【目的】超微量フッ素(F)の測定が可能なフローインジェクションシステムにて幼児唾液中の遊離型Fイオン濃度を測定し,フッ化物使用状況,口腔衛生習慣,齲蝕原性細菌レベルおよび齲蝕経験との関連性を検討した。【対象および方法】対象は,横浜市の2つの保育園の4歳〜6歳の園児のうち,フッ化物使用状況,口腔衛生習慣について保護者へのアンケートを行い,併せて唾液の採取および口腔内診察が可能であった68名(男児26名,女児42名,平均年齢5.6歳)とした。唾液試料は,パラフィンワックス咀嚼にて刺激全唾液を採取した。Fイオン濃度の測定には,フローインジェクション分析装置を用い,標準液から得られた電位差のピーク高を測定し,検量線を作成後,濃度の算出を行った。齲蝕原性細菌として,採取唾液を改良MSB培地およびROGOSA培地に塗抹・培養し,コロニー数からそれぞれミュータンスレンサ球菌と乳酸桿菌の唾液中レベルを算定した。【結果および考察】1.被験者のdmftとdmfsの平均はそれぞれ0.68,3.68であった。齲蝕経験と齢蝕原性細菌レベルとの間に有意な相関が認められた(p<0.01)。2.採取唾液中Fイオン濃度は,平均0.0083±0.0026,最大0.018,最小0.0035(ppmF)であった。唾液中Fイオン濃度とアンケート結果との関連性のうち「保護者の仕上げ磨きの回数」との間に有意な相関が認められ,「日に2回以上」の場合に有意に高い値が認められた(p<0.05)。3.唾液中Fイオン濃度と口腔衛生習慣との関連性が確認され,仕上げ磨き時の歯みがきペーストの使用回数が影響することが示唆された。しかし、本研究の被験者の唾液Fイオン濃度は,最大0.018ppmと低濃度であり,歯の脱灰の抑制,再石灰化が期待できる濃度には至っておらず,フッ化物製剤の積極的な応用が必要と思われた。
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Research Products
(3 results)