2008 Fiscal Year Annual Research Report
歯周病原性細菌由来細胞死誘導因子の機能解析及び診断・治療・予防への臨床応用
Project/Area Number |
18592260
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
荒川 真一 Tokyo Medical and Dental University, 歯学部附属病院, 助教 (20302888)
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Keywords | 歯周病原細菌 / 抗体価 / 歯肉溝滲出液 / Tannerella forsythia / FDF / 歯周炎 |
Research Abstract |
Tannerella forsythiaの病原因子として報告した細胞剥離因子(forsythia detaching factor: FDF)は、接着細胞を剥離する活性があり、さらに細胞内でIL-8の産生を促進し、その結果歯周組織に炎症を誘導し歯周炎を発症・進行させる病原因子として重要であるだけでなく、再生を担う細胞に対しても障害を与えると考えられる。本研究においては、以下の検討を行った。1.FDFのリコンビントタンパク質の精製物を抗原として用い、歯周炎患者・健常者の歯肉溝滲出液に含まれる坑FDF抗体価をELISA法にて測定した.抗体価と臨床的評価指標とを比較後関連性を解析し,病態との関連性を解析した。2.歯周ポケット内に存在するT.forsythia FDFをコードする遺伝子fdf,ならびに当該細菌の16SrDNAの存在を解析し,病態との関連性を検討し,重篤度との相関があるかを解明した。その結果,歯周炎患者の坑FDF抗体価は健常者と比較して有意に高い値を示した.さらに歯周炎患者群において,健常部位と歯周炎罹患部位の抗体価を比較すると,前者群で有意な高値を示した.一方, PCRの結果から,歯周炎罹患部位でfdfが検出される割合は高く,一方抗体価は低い結果が得られた.歯肉溝滲出液中のIgGは末梢血由来が主であることを併せて,罹患部位ではポケット内に存在する歯周病原細菌曲来や宿主由来のIgG分解酵素により分解されていることを示唆する.上述のようにFDFは病原因子としての活性を保有するため, opsonin化に重要なIgGが分解された結果,食細胞に貪食されず歯周炎の悪化に関与していると考えられる.歯肉溝滲出液中の坑FDF抗体価の測定は比較的簡便であり,将来的には臨床的に的確な診断・予後の判定に有用なツールの一つとして利用することが可能となると予想される。
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Research Products
(3 results)