2007 Fiscal Year Annual Research Report
歯周病によるアテローム性動脈硬化症の惹起・促進メカニズムの解明と原因因子の同定
Project/Area Number |
18592263
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
湯本 浩通 The University of Tokushima, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (60284303)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中江 英明 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (30227730)
尾崎 和美 徳島大学, 歯学部, 教授 (90214121)
高橋 加奈子 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (80403715)
高松 夏子 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (90403716)
|
Keywords | 歯周病 / 動脈硬化症 / 歯周病関連細菌 / 細菌感染 / 炎症 / マクロファージ / 炎症性サイトカイン / シグナル伝達 |
Research Abstract |
歯周病関連細菌の1種であるStreptococcus intermediusからHistone-like DNA binding protein遺伝子(Si-hlp)をCloningし、GST融合HLP蛋白質として大腸菌内で発現誘導させた。発現させた組換えSi-HLP蛋白質(rSi-HLP)を可溶性画分として抽出・精製を行い、GSTを切断して最終的に精製rSi-HLPを得た。アテローム性動脈硬化症の惹起・促進メカニズムに関して、この新規蛋白質の影響を解析する為に、ヒト単球系細胞株であるTHP-1細胞をrSi-HLPで刺激し、アテローム性動脈硬化症の発症に関与するとされる炎症性サイトカイン産生と産生誘導メカニズムについて解析した。rSi-HLPは、時間及び濃度依存的に炎症性サイトカイン(IL-8、IL-1β及びTNF-α)の産生を誘導し、その誘導活性は、DNAへの結合活性とは異なり、熱安定性であった。さらにrSi-HLPは、自然免疫に関与するレセプター群に対するLigands(リポタイコ酸、TLR2に対するagonistであるPam3CSK4やNOD2 receptor agonistであるMDP)と相乗的作用して炎症性サイトカイン産生を誘導した。加えて、Westem blotや特異的inhibitorを用いた解析から、rSi-HLPはERK1/2及びJNKのシグナル伝達系を活性化し、炎症性サイトカイン産生誘導を行う事が明らかとなった。以上より、細菌由来のHLPは、DNA結合を介した細菌の増殖などの生理的役割に加えて、細菌感染時に宿主の自然免疫をERK1/2及びJNKのシグナル伝達系を介して活性化し、炎症性反応を誘導する事が示された。これらの知見は、炎症性反応により惹起・促進されるアテローム性動脈硬化症と細菌感染・自然免疫との関連性に関する近年の報告と合致し、細菌由来のHLPの本疾患への関与が示唆された。 近年、アテローム性動脈硬化症と自己免疫応答の関与(特にHeat Shock Protein;HSP)が示唆されている。そこでアテローム性動脈硬化病巣でも検出される歯周病関連細菌の主要な菌種であるP.gingivalisでマウスマクロファージ系細胞株J774.A1細胞を刺激すると、mRNA及び蛋白質両レベルにおいてHSP60の発現増強が認められた。
|
Research Products
(6 results)