2007 Fiscal Year Annual Research Report
歯周組織由来細胞におけるストレス応答性タンパク質MICAの発現に関する研究
Project/Area Number |
18592280
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
河原 和子 Hiroshima University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (20034209)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島津 篤 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (10274094)
柴 秀樹 広島大学, 病院, 講師 (60260668)
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Keywords | MICA / ストレス応答性タンパク / 歯根膜細胞 / リアルタイムPCR / 炎症性サイトカイン / 増殖因子 |
Research Abstract |
MICAは微生物感染,温熱,有害物質への露呈によって発現が誘導されるストレス応答性の糖タンパク質で、ナチュラルキラー細胞,細胞障害性T細胞,マクロファージといった免疫担当細胞や破骨細胞に発現する細胞傷害活性化レセプターのひとつであるNKG2Dにより認識される。従って歯周組織において、細菌感染等によるストレスはMICAの発現を誘導し,歯根膜や歯槽骨の破壊に関与している可能性が考えられる。しかしながら今まで歯周組織におけるMICAについての報告は見当らない。本年度は,歯周組織局所におけるMICA発現細胞とその発現制御を明らかにする目的で,培養ヒト歯根膜(HPL)細胞に種々のサイトカインを投与し、同細胞におけるMICA発現をリアルタイムPCRによって検討した。<結果>歯周組織ならびに無処置の継代早期HPL細胞を試料としたRT-PCRにおいて、MICAmRNAが発現していることを確認した。次に継代6代目のHPL細胞を0、3、6、12、24、48時間サイトカインに暴露してMICAの発現を分析したところ、サイトカインによって異なる経時的プロフィールを呈した。実験に供した4種のサイトカイン中、TGF-β1が投与時間依存的にMICA mRNAの発現を上昇させ、他の3種のサイトカインよりも高い発現レベルを誘導した。FGF2投与ではMICA発現は低いままで、代表的な炎症性サイトカインであるIL-1βやTNF-αでは,24h以降に発現レベルの上昇がみられた。以上の結果から、HPL細胞は恒常的にMICAを発現していることが示唆された。さらに、歯根膜細胞では従来知られているストレス刺激以外に一部の生理活性分子もMICA転写を誘導することが明かとなった。次年度は歯周組織における恒常的なMICA発現とTGF-β1による発現上昇の意味を明かにする予定である。
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