2007 Fiscal Year Annual Research Report
大学院における日本文化を反映した看護倫理教育プログラムの開発
Project/Area Number |
18592306
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
荻野 雅 International University of Health and Welfare, 保健医療学部, 准教授 (60257269)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 恵美 千葉大学, 看護学部, 教授 (10230062)
手島 恵 千葉大学, 看護学部, 教授 (50197779)
山本 利枝 千葉大学, 看護学部, 教授 (70160926)
酒井 郁子 千葉大学, 看護学部, 教授 (10197767)
吉田 千文 千葉大学, 看護学部, 研究員 (80258988)
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Keywords | 看護倫理 / 教育プログラム / 大学院看護教育 / 日本文化 |
Research Abstract |
本研究の目的は大学院における日本文化を反映した効果的な看護倫理教育プログラムを開発することである。平成19年度も昨年に引き続き、当研究グループが開発した大学院における日本文化に即した看護倫理教育プログラムを実施した。昨年度の研究結果から明らかになった問題点については、プログラムを一部改善し実施した。受講した千葉大学大学院看護学研究科前期課程生及び修了生を対象に面接調査およびアンケート調査を行い、また受講生が提出した課題レポートや授業評価表の内容分析結果も加えて、プログラムの効果検証を行った。特に今年度は、昨年度の研究で受講生が当プログラムで自己の価値観に直面する体験をしていることが明らかとなっていたので、受講生の価値観の気づきを中心に分析を行った。また昨年度繰り越されていた課題である、学生の看護倫理観の日本文化的な影響についても分析を進めた。その結果、1.学生の当プログラムでの価値観の気づきについて(1)学生は当プログラムを通して、自己の価値観に気づき、また自分の最善だと思う価値観を患者へ押し付けていたことに気づいた。(2)学生は自分の価値観とは異なる、多様な価値観の存在に気づく体験をしていた。(2)学生は、1対1の関係の中で自分と他者の価値観が異なることにはショックを受けないが、グループの中で自分ひとりが異なった考え方をしていることに気づくと、自分の存在自体を脅かされるような体験をしていた。2.日本文化的な倫理観の特徴(1)学生は、倫理原則の誠実よりも無害の方が徳が高いと考えており、「和」という日本の文化的概念を反映していた。(2)学生は患者の心情を慮り、言葉にせずに察することがよいと考えており、心と心で意思疎通することが親密な人間関係であるという日本文化的な考え方の影響があった。(3)学生は、ターミナルのようなケースでは、患者の意思よりも残される家族の意思を尊重すべきだと思っており、家族主義的な文化的影響を受けていた。結論として、看護倫理教育プログラムにおいて、学生の、自己の価値観に直面する体験をサポートすることが必要であること、そして自己の価値観がどのような考え方から影響を受けて培われてきたのか客観的に理解できるようなプログラムが必要であることが示唆された。
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