2008 Fiscal Year Annual Research Report
大学院看護教育における日本文化を反映した看護倫理教育プログラムの開発
Project/Area Number |
18592306
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
荻野 雅 International University of Health and Welfare, 保健医療学部, 准教授 (60257269)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 恵美 千葉大学, 看護学部, 教授 (10230062)
吉田 千文 聖路加看護大学, 看護学部, 准教授 (80258988)
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Keywords | 看護倫理 / 教育プログラム / 大学院看護教育 / 日本文化 |
Research Abstract |
本研究の目的は大学院における日本文化を反映した効果的な看護倫理教育プログラムを開発することである。今年度は韓国における看護大学生4名を対象に看護倫理教育についてのグループインタビューを実施し、その結果を本研究で開発した看護倫理教育プログラム受講者との結果と此較検討し、看護倫理教育における文化的価値観の重要性について考察した。 韓国でのインタビュー対象者は平均年齢23.5歳、看護学部4年生で、看護師としての臨床経験はないが看護学生としての臨地実習の経験はある4名であった。韓国においても日本における看護倫理教育と同じように、倫理原則として正義、自律・自立、善行・無害の原則が教授されていた。韓国における看護大学生は、その中でも大事な倫理観として「無害」「自立」の原則を語っていた。これは当プログラム受講生の結果とも一致しているが、その意味は若干異なっていた。当プログラム受講の日本の看護系大学院生は、無害の原則について「相手を(心情的に)傷つけないようにする」「他者に迷惑をかけてはいけない」ととらえており、「和」や「義」を大事にする価値観がその基盤となっていた。 一方、韓国における大学生が語った無害の原則は、心情的というよりも実害をさしており、「他人に意図的に害を与えないこと」「他人に害を与える行動をしないこと」と述べていた。「自立」の原則については患者の意志を尊重するということも含まれており、日本の看護系大学院生と共通していた。日本においても韓国においても患者の自立や意思が尊重されていない医療現場があり、そのことでさらにこの原則が大事であると思われているようである。 これらのことから倫理原則は普遍的なものであるが、その文化的背景や医療現場の実態からからその解釈が異なってくる。看護論理教育においては倫理原則を教育することは標準的なカリキュラムであるが、その原則の吟味は十分に行われてきたとはいえない。文化的背景を考慮した原則の見直しが必要であり、また原則を知識として提供するだけではなく、実際の体験を通して個人に内在化させていくことで効果的な看護倫理教育になると考えられる。
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