2006 Fiscal Year Annual Research Report
看護技術の熟達過程における感情喚起と思考深化の関係性に関する研究
Project/Area Number |
18592331
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Fukuoka Prefectural University |
Principal Investigator |
永嶋 由理子 福岡県立大学, 看護学部, 教授 (10259674)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山川 裕子 佐賀大学, 医学部, 助教授 (00259673)
安永 悟 久留米大学, 文学部, 教授 (60182341)
|
Keywords | 看護技術 / 熟達化 / 血圧測定 / 思考 / 感情 |
Research Abstract |
[目的]看護技術の熟達化プロセスを、「手際のよい熟達」及び「適応熟達」の側面から検討する。 [方法]福岡県内の総合病院に勤務する看護師59名(内訳:3年以上5年未満2名、5年以上10年未満17名、10年以上15年未満18名、15年以上20年未満14名、20年以上7名)を対象にして、水銀血圧計を用いた血圧測定技術の熟達化(「手際のよい熟達」と「適応熟達」)について、質問紙調査を実施した。 [結果]血圧測定技術に対する自信度は、非常にある(19%)、まあある(81%)であった。血庄測定技術における熟達化のうち「手際のよい熟達」(=自動化(熟達するにつれて技術の自動化が起こる))について、17項目の下位スキルのうち、<(1)対象者の肘関節を伸展させる(41.4%)>、<(2)マンシェットの中の空気が完全に抜けているか確認する(42.4%)>、<(3)マンシェットはいつも指2本入るように巻いている(40.1%)>、<(4)送気バルブのネジの操作を滑らかに微調整する(47.5%)>、<(5)血圧計の目盛りと視線は水平にして移動しながら血圧値を読み取る(47.5%)>、<(6)水銀をゆっくりと減圧し血管音が聞き取れるまで一定にする(45.8%)>、<(7)拍動が聞こえた時点を最高血圧とする(42.4%)>、<(8)拍動が聞こえなくなった時点を最低血圧とする(42.4%)>の8項目が40%台を示したが、それ以外の項目は30%未満台の熟達にとどまった。さらに、この8項目で「手際のよい熟達」に達した看護師と「手際のよい熟達」に達していない看護師の技術の確実性について比較した結果、<(1)対象者の肘関節を伸展させる>、<(2)マンシェットの中の空気が完全に抜けているか確認する>、<(6)水銀をゆっくりと減圧し血管音が聞き取れるまで一定にする><(7)拍動が聞こえた時点を最高血圧とする>、<(8)拍動が聞こえなくなった時点を最低血圧とする>の5項目については、「手際のよい熟達」に達した看護師の方が高い割合を示した。特に(7)では熟達看護師69%・未熟達看護師31%(38%差)、(8)では熟達看護師66%・未熟達看護師33%(33%差)がみられた。熟達した看護師は技術の自動化とともに、主観的ではあるが技術についての確実性を認識していることがわかった。今後は、経験年齢との比較及び「適応熟達」についての分析を行い、熟達化尺度を作成する予定である。
|