2008 Fiscal Year Annual Research Report
看護技術の熟達過程における感情喚起と思考深化の関係性に関する研究
Project/Area Number |
18592331
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Research Institution | Fukuoka Prefectural University |
Principal Investigator |
永嶋 由理子 Fukuoka Prefectural University, 看護学部, 教授 (10259674)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山川 裕子 佐賀大学, 医学部, 准教授 (00259673)
安永 悟 久留米大学, 文学部, 教授 (60182341)
渕野 由夏 福岡県立大学, 看護学部, 講師 (20316144)
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Keywords | 看護技術 / 血圧測定 / 熟達化 / 感情 |
Research Abstract |
F大学看護学部の2年次学生10名に対し実施した連続3日間(1日20回、計60回)の血圧測定の実験結果を基に、血圧測定技術の熟達化過程と感情喚起の関係性について検討した。 [結果及び考察]血圧測定の熟達化を評価するために、主観的評価と客観的評価から分析を行った。測定者自身の「上達の自覚」を主観的評価として分析した結果、1回目〜24回目までは、上達の自覚がみられ、さらに技術が自分のものになったと自覚するのが、25回目〜30回目、35回目〜40回目、49回目〜60回目の3群に集中していた。回数を重ねることで技術的問題が体験を通して解決されていくことにより、上達の自覚が起こったと考えられる。さらに技術が自分のものとなったと自覚するのが2日目の中盤あたりであることから、上達の自覚は20回以上にわたる測定技術を繰り返すことにより起こると捉えることができる。熟達化の客観的評価としては、研究者と測定者との血圧値の誤差(1回〜40回まで)および、血圧測定用腕モデルによる血圧値の確認(41回〜60回まで)から分析した。収縮期では、回数が増えるごとに値の誤差を生じることが少なくなってきた。拡張期では、41回目以降(血圧測定腕モデル使用、毎回血圧値の設定を変える)から値の誤差が大きくなった。これは、毎回血圧値の測定を変えたこと、また収縮期より拡張期の方が、徐々に血管音が弱くなって消失するため、測定者は音が本当に消失したと判断してよいか迷ったことが関係していると思われる。熟達化の過程において、感情がどのように喚起されるのかを分析した結果、全体としては測定回数が増えるごとにプラス感情へと変化した。しかし、詳細に分析してみると徐々に高くなっているのではなく、上がったり下がったりを繰り返しながら徐々にプラス感情へと移行していることがわかった。上達の自覚はプラス感情を高める要因となるが、それ以外の要因として、血圧測定値の誤差もプラス感情に大きな影響を及ぼしていることがわかった。特に研究者と測定者の血圧値の誤差が小さく、誤差回数が少なければプラス感情は高まり、一方誤差が大きく、誤差回数も多ければプラス感情を抑制するようにはたらくことが示唆された。
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Research Products
(1 results)