2006 Fiscal Year Annual Research Report
小児医療における小児特有の事故発生要因の分析と安全管理の検討
Project/Area Number |
18592340
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐藤 洋子 北海道大学, 医学部, 教授 (90162502)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
良村 貞子 北海道大学, 医学部, 教授 (10182817)
伊藤 紀代 北海道大学, 医学部, 助手 (80431310)
中澤 貴代 北海道大学, 医学部, 助手 (50360954)
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Keywords | 小児特有の事故 / リスクマネージメント / 無資格者による医療的ケア |
Research Abstract |
承諾が得られた2施設の重症心身障がい児(者)施設における事故防止対策の実態、ならびに入所者の状況について、訪問、インタビュー、安全管理マニュアルを中心に検討した。 1.施設の安全対策:(一施設については、事故予防マニュアルは存在せず、その都度対応していた。) 1)事故発生状況:16年度、17年度の事故発生状況は、合計75件、打撲・裂傷、熱傷などが55件、異食1件、他外10件、誤嚥1件であった。 2)独自の事故防止のためのマニュアルを作成していたが、多くは、医療行為・医療的ケアに関する内容への対応であった。 3)事故防止目的で環境整備(ベッド柵、観察室、テーブル等、クッションフロア等環境の工夫)を実施していた。 4)事故発生時の連絡ルートなどは整備され、職員への指導が実施されていた。 一般入院患児の場合とは異なり、障害の程度、種類に差があり、多様な安全管理が要求されていた。また、医療職以外の福祉介護職員、保育士も常勤しており、それぞれの役割、資格に応じた事故予防、安全管理の検討が重要と考えられる。 2.看護師の医療的ケア(吸引技術)に関する認識:(質問紙配布数99部、回収率73.7%) 1)吸引に関する教育背景では、初勤務の施設を問わず、先輩看護師から後輩看護師へ指導・教育されていた。 2)約90%の看護師が、対象者の状態に合わせて吸引方法を変更・工夫していた。 3)看護師以外の者による吸引の実施を好ましくないと回答した者は約50%であった。 4)約80%が吸引技術に関して熟練を要すると回答したが、各項目間での有意差は認められなかった。 以上より、近年、過程や地域において、看護職以外の養護教諭などに医療的ケアの実施を認める動きがある。看護師には無資格者、他職種へ医療的ケア技術を指導・教育上の責任があり、効果的教育方法の検討が、今後、障がい児(者)や患者の安全管理上、看護職の重要な役割となると思われる。
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