2006 Fiscal Year Annual Research Report
非配偶者間の生殖補助技術を用いて親になるカップルへの家族形成支援に関する研究
Project/Area Number |
18592345
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
清水 清美 国際医療福祉大学, 小田原保健医療学部, 講師 (70323673)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長沖 暁子 慶應義塾大学, 経済学部, 准教授 (80118984)
柘植 あづみ 明治学院大学, 社会学部, 教授 (90179987)
日下 和代 東京医療保健大学, 医療保険学部, 准教授 (40302872)
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Keywords | 非配偶者人工授精 / 家族づくり / 準備教育 / 情報提供 |
Research Abstract |
第3者の胚・配偶子を用いた生殖医療を選択するカップルへの準備教育としてドイツの実践を学び、また日本における「子どもの出自を知る権利」について検討するためPetra Thorn氏(ソーシャルワーカ・不妊カウンセラー)を招聘した。 ドイでは日本同様、非配偶者間による生殖医療で生れた子どもの「出自を知る権利」が保障されておらず、親のほとんどがAIDを秘密にする傾向にあった。しかし、1996年ころより、不妊カウンセラーが中心となり、不妊カップルへの準備教育として、第3者の胚・配偶子を用いた生殖医療に関する医学的・法的・心理的な情報提供とともに、子どもに告知すること(家族間で秘密をつくらず出生について親が子どもに打ち明けること)のメリットについて情報を提示すると、事実を他者やAIDで生まれた子どもと共有しようとする親が少しずつではあるが増え始め、自助グループができはじめいる。また、情報提供用のホームページや情報パンフレット作成し、他の家族のための支援活動が広まった経緯を述べ、家族づくりを視点においた情報提供の必要性を学んだ。 イギリス訪問では、Donor Conception Network代表のオリビア・モナッシュのHow to Tellプロジェクトを視察した。Donor Conception Networkとは、第3者の精子・卵子・胚を用いて親になった、あるいは生れた子どもによる自助グループである。子どもの年齢に応じた(0〜7歳、8〜12歳、13〜16歳、17歳〜)親のための告知のガイドグックTelling and Talking(2006年に作成)を紹介いただく。子どもに打ち明けることの必要性はわかっていても、実際となると二の足を踏む親に対し、打ち明け方の具体例なども示した世界でも類をみない冊子であった。また、1年に2回100家族が集まる講演会を開催しており、親同士、子供同士の交流も実施しており、継続的に親をサポートする自助グループの必要性を学んだ。 2007年度はドイツでの準備教育に参加し、実際の運営について学び、上述した情報を含め、日本での準備教育のあり方について、AIDで親になった人の聞き取り調査や専門家との討論により思案する予定である。
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