2008 Fiscal Year Annual Research Report
人工妊娠中絶を受ける女性の心理ケアのためのバランスシートの開発と利用に関する研究
Project/Area Number |
18592378
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Research Institution | Kanagawa University of Human Services |
Principal Investigator |
杵淵 恵美子 Kanagawa University of Human Services, 保健福祉学部, 准教授 (60245389)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 真理 北里大学, 看護学部, 教授 (20216758)
新井 陽子 北里大学, 看護学部, 講師 (90453505)
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Keywords | 看護学 / 人工妊娠中絶 / アンビバレンス / 意思決定 |
Research Abstract |
本研究の目的は、人工妊娠中絶を受ける女性が体験するアンビバレントな心理状態を明らかにするバランスシートを作成し、妊娠中絶を意思決定する過程での女性の心理的支援のあり方を明確にするとともに、バランスシートの活用方法について検討する基礎資料を得ることである。 バランスシートとは,妊娠中絶の意思決定に際し女性が体験する「妊娠を継続できない」気持ちと「妊娠を継続したい」気持ちの相反するアンビバレントな心理状態を定性・定量的に明らかにしようとする調査票である。 平成20年度においては、前年度に収集したデータに新たに収集できたデータを追加し、整理・分析を行った。調査対象者は妊娠中絶を希望する20歳以上の女性で、手術時の妊娠週数が12週未満の者である。調査対象者の平均年齢は30.5歳、手術時の平均妊娠週数は7.0週であった。初めての妊娠である者は24.8%、過去に妊娠中絶の経験がある者は38.0%であった。また、パートナーとの婚姻関係がある者は45.8%であった。 すべての女性が妊娠継続(pro-continue)項目、妊娠中断(pro-terminate)項目のいくつかに該当する状況にあり、妊娠の中絶と継続の両者の気持ちを併存させているアンビバレントな心理状態であった。女性の多くは妊娠中絶の意思決定に際して迷い、困難さを感じていた。また、約36%の女性は意思決定の主体者が他者であった。意思決定の主体者が他者である女性は、年齢が若くパートナーとの婚姻関係がない傾向にあった。妊娠中絶を希望する女性の心理状態把握のために、バランスシートが活用可能であること、また、女性が納得して妊娠中絶の意思決定を行うための支援の必要性が示された。なお、質的データについてはさらに分析検討を継続する予定である。
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Research Products
(1 results)