2006 Fiscal Year Annual Research Report
抑うつ状態の患者に対する看護師の共感技術促進モデルの開発
Project/Area Number |
18592409
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
上野 恭子 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, 講師 (50159349)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗原 加代 茨城キリスト教大学, 看護学部, 講師 (40382816)
西川 浩昭 本赤十字豊田看護大学, 看護学部, 教授 (30208160)
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Keywords | うつ病・うつ状態 / 患者-看護師関係 / 共感 / 面接法 / M-GTA |
Research Abstract |
【目的】うつ病患者に対し共感的な関わりを行うことは、彼らの安楽を促進するために重要であるといわれている。本研究は、その関わりに対して患者自身はどのように認知しているのかについて入院生活の体験の語りを帰納的に分析し、看護師との関係性の特徴と関連要因を明らかにすることを目的とした。 【方法】対象は、うつ状態を呈し入院経験をもつ外来患者10名(男女5名ずつ)であった。対象者に対し、インタビューガイドにそって半構成的面接(平均面接時間46.5分)を行った後、その逐語録を修正版グランデッド・セオリー・アプローチ法(M-GTA:木下2003)に基づき、エピソード間の継続的比較分析を行った。尚、本研究は平成18年筑波大学人間総合科学研究倫理委員会の承認を得た上で、プライバシーの保護、参加への自由意思の尊重を行い、書面をもって参加の意思を確認した。 【結果・考察】「わかってもらえた」エピソードは10場面が抽出され、「わかってもらえない」エピソードは14であった。時間軸からみると、重症であるほど「わかってもらえない」と感ずることが多く、症状が軽快すると「わかってもらえた」エピソードが増加する傾向にあった。「わかってもらえない」ことに関連する要因は、患者が重症な時期も「周りの状況がわかる」だけでなく「混乱している自分を見ている自分」の存在が関係しており、「自分のことだけで切羽詰っている」という感覚が明らかとなった。さらに「精神科病院に入院した戸惑い」に関連する環境要因も影響していた。一方「動けることを実感」できる時期は、「自分で問題を解決したい」という従来の性格傾向と「自分の意思を尊重」されることが関連し、「わかってもらえた」と感じる体験から「ほっとした感覚」が得られた。 【今後の研究】次年度は本研究結果を精錬し、共感の操作的定義とその尺度化を試みる。
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