2006 Fiscal Year Annual Research Report
沖縄の離島における介護基盤体制と高齢者をめぐる世代間ネットワークに関する研究
Project/Area Number |
18592427
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
古謝 安子 琉球大学, 医学部, 講師 (30305198)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇座 美代子 琉球大学, 医学部, 教授 (00253956)
小笹 美子 琉球大学, 医学部, 講師 (10295313)
和氣 則江 琉球大学, 医学部, 講師 (90315474)
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Keywords | 離島 / 高齢者介護 / 介護基盤体制 / 世代間ネットワーク / 沖縄 |
Research Abstract |
本研究は、小離島における介護体制と高齢者をめぐる世代間ネットワークとの関連を解析し、高齢者が住み慣れた地域で終末を迎えられるような地域社会の扶養能力について検討することを目的としている。本年度は、まず沖縄本島周辺の小離島の中で、島内に入所施設があるA・B村と無いC・D村の行政担当者等に施設整備に関する半構成的面接調査を行った。また世代間の意識を把握するために、これら4村で無作為抽出した住民計700名に対し留置き調査を実施した。さらに、終末期を過ごす場所に影響する葬法との関連をみるため、火葬場のないB村において死亡届書による葬法の実態把握と住民へのアンケート調査を実施した。 介護施設の設置は、「島で高齢者を世話する」という首長や議会による政策として取組まれていた。施設における終末期介護の実施状況を退所者に占める死亡者の割合でみると、A村が37%に対しB村は71%と高かった。一方、施設がない島では「要介護高齢者は本島の子供の許や病院、施設に行く」ため、島内での設置を考えてこなかった状況があった。世代間の意識を「要介護期の過ごし方(複数回答)」でみると、老年者は島内生活を、若年者では島外生活を希望する割合が有意に高く、中年者はその中間であった。老年者は「島内で子や孫と一緒・近く」が77%、「島内で一人暮らしや施設入所」も62%と他世代より有意に高く、子や孫に依存しない自立生活も望んでいた。そこで施設の有無別に老年者の自立生活希望をみると、施設がない群では48%に対し、施設がある群では75%と高かった。入所施設が島内にあることで、老年者は要介護期でも住み慣れた島での自立生活を選択すると考えられた。また、施設がなく要介護高齢者の島外移動が日常化すると、地域の扶養能力も低下し介護体制の差が拡大すると危惧された。 今後、介護体制と世代間意識や葬法との関連の分析をすすめ公表する。
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