2007 Fiscal Year Annual Research Report
認知症看護における看護実践能力修得までのプロセスと構造
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18592434
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Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
谷口 好美 Fukui Prefectural University, 看護福祉学部, 准教授 (50280988)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉村 洋子 福井県立大学, 看護福祉学部, 教授 (70100625)
寺島 喜代子 福井県立大学, 看護福祉学部, 准教授 (20180078)
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Keywords | 看護学 / 医療・福祉 / 認知症 |
Research Abstract |
医療施設における認知症看護に必要な看護実践能力を修得するまでのプロセスと構造を解明することにより、看護教育プログラムや医療施設の看護環境の改善のための基礎資料を得ることができ、認知症看護の質の向上に貢献すると考える。 平成18年度から継続して、(1)認知症(dementia)の看護及び看護師の能力に関連する文献を収集・検討すること、(2)医療施設の看護師が認知症高齢者を看護するうえでどのように認知症を理解し、対応できるようになるのかプロセスを記述し、これまで抽出・蓄積したカテゴリーを洗練させることを目的に実施した。医療施設に勤務する看護師を対象にしたインタビュー・データの分析結果から、【目が離せない人との遭遇】([介助時の暴力・暴言][他患への迷惑][事故を起こすのではないかという恐れ])を契機に、【目が離せない人に対する許容】が生じることを抽出している。分析結果からは、看護者は医療施設で認知症高齢者の看護を行う中で生じた「責める気持ち」を制御し、「認知症がそうさせている」と受け入れるまでのプロセスが示されていた。サブカテゴリーとして、「責める気持ち」、「嫌なことをしたのではないかという内省」、「目が離せない人への慣れ」、「認知症がそうさせている」が含まれていた。認知症においては、看護者が「目が離せない」状況からくる混乱や緊張感を克服するために、慣れていく(習熟する)過程として[許容量の広がり]を獲得するプロセスを抽出している。これらのプロセスは、認知症高齢者の看護を行ううえで必要な看護実践能力の可能性があり、次年度の研究として継続する。
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[Remarks] 日本老年看護学会平成19年度研究論文優秀賞受賞
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[Remarks] 谷口好美(2006)医療施設で認知症高齢者に看護を行ううえで生じる看護師の困難の構造,老年看護学,11(1),12-20掲載