脳血管障害者と家族の生活再構築にむけた看護支援:エンパワメントと協働

2006 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 18592435
• Research Category: Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
• Research Institution: Nagano College of Nursing
• Principal Investigator: 安田 貴恵子 長野県看護大学, 看護学部, 教授 (20220147)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 千葉 真弓 長野県看護大学, 看護学部, 講師 (20336621) ; 山崎 洋子 山梨大学, 医学工学総合研究部, 教授 (10248867) ; 岩崎 朗子 長野県看護大学, 看護学部, 講師 (60336625) ; 吉田 聡子 長野県看護大学, 看護学部, 助教 (10420704) ; 平松 理恵 長野県看護大学, 看護学部, 助教 (80405125)
• Keywords: 脳血管障害者 / 生活の再構築 / 生活の質 / 援助ニーズ / 学習ニーズ / 支援プログラム

Research Abstract

平成18年度は初年度の取り組みとして、在宅で療養する脳血管障害者の援助ニーズ・学習ニーズを把握する目的で面接調査を行なった。調査内容は、先に行なった予備調査の結果ならびに先行研究を参考にして作成した。具体的には、体の状態と日常生活への影響の内容およびその対処、体調と心の状態、運動の取り組み、仕事や地域での交流に現状と意識、疾患理解や療養生活において必要な情報である。
調査を行なった11名の性別は、男8名、女3名、年齢は60歳代3名、70歳代8名であり、疾患名は脳梗塞、脳出血、くも膜下出血であった。独居生活者は1名のみ。
全員が日常生活は自立していたが、脳血管障害による症状として、痛み・しびれ、ろれつがまわらない、嚥下困難、疲れやすい、感情を押さえられないことを感じていた。医療者からの指導を受けている者もいたが、中には痛みが強く生活に支障があると伝えても主治医から痛みは治らないと言われてしまい、自分で開業医を探して対処している例もあった。
体調と心の状態では、"身体機能が低下する不安"をいつも感じており、自分なりに考えた歩行訓練や運動を毎日行なっていた。"周囲の人がよそよそしいと感じる"ことが強くなり、発病以前の社会生活や交流関係を意識して縮小させていたが、同じ病気の人と体験を交流したいという希望もあった。
これらの結果から、日常生活が自立できていても脳血管障害による症状によって生活に影響していること、周囲の人と発病前と同じように交流しにくいと感じていること、自分の体験や気持ちを表現できる場を求めていること等がわかった。
また、脳血管障害者と家族への退院支援の実際について、活動実績のある山梨県内の医療機関を訪問して実地調査を行なった。医療機関内の関係職種が連携するとともに、退院前に病院職員が自宅を訪問して、退院後の生活環境を把握して退院指導に反映させていた。