2007 Fiscal Year Annual Research Report
保健師の政策形成能力に関する研究-県庁保健師に必要とされる能力とその育成要件
Project/Area Number |
18592447
|
Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
二宮 一枝 Okayama Prefectural University, 保健福祉学部, 教授 (70347607)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石村 久美子 岡山県立大学, 保健福祉学部, 准教授 (90280073)
富田 早苗 岡山県立大学, 保健福祉学部, 助教 (00448797)
小野 ツルコ 関西福祉大学, 看護学部, 教授 (10020025)
|
Keywords | 保健師 / 行政 / 政策形成能力 / 育成要件 / 県庁 / メンタリング / コア能力 / 全国調査 |
Research Abstract |
県庁保健師の政策形成能力とその育成要件を明らかにすることを目的として、平成19年9〜10月、全国都道府県本庁に在籍する行政職の保健師に、本庁保健師主管部門を通じて無記名自記式質問紙調査票を配布し、個別郵送により回収した。倫理的配慮は依頼文に明記し、返送をもって承諾とした。 その結果、41都道府県163人(回収率47.5%)の回答を集計・分析して次の知見を得た。 基本特性は男性2人(1.2%)、女性160人(98.8%)、平均年齢44.79±7.90歳、経験年数21.6年で40代が47.5%で最も多かった。今回の本庁勤務が初めての者は57.15であった。保健師資格取得後の進学は26.4%で20代の進学率が高かった。学会等発表は72%が県内、54.7%は日本公衆衛生学会での発表経験を有し、学会誌自費購読48%、職場での購読52.1%であった。メンターの職種は保健師69.9%で最も多く、次いで事務職19%であった。メンタリング(12項目を作成)得点ではやりがいのある仕事の提供等のキャリア項目の得点が高い傾向にあった。自由記載からは人間性が最も多く、次いで行政能力・実行力、広い視野、保健師の専門性等が挙げられた。 次に、県庁の職務特性として、全県的な広い視点と先見性、法務知識、予算・議会対応があり、これらの能力向上に努めていた。また、直接サービスが少なく、住民や現場の反応がみえにくい立場にあるものの、保健師としての拠は住民主体の予防的な視点を重視していた。米国公衆衛生看護に必要な8つのコア能力を個人/家族(ジェネラル)及び集団/システム(スペシャリスト)に分けて、自信をもってできるか否かを4件法で得点化し、各々、8領域毎に100点満点とした。個人/家族得点で高いのはコミュニケーション能力72.36点、地域における実践能力72.34点、集団/システム得点で高いのは財務計画と管理能力70.88点、地域における実践能力70.25点であった。逆に最も低いのは政策立案・計画策定能力(集団/システム)61.93点であった。年代間で有意差がみられたのは、政策立案・計画策定能力(集団/システム)はじめ7つのコア能力であり、特に30代と50代における差が顕著であった。何れも集団/システム得点は個人/家族得点よりも低かった。
|