2007 Fiscal Year Annual Research Report
環状2本鎖HBV DNA合成に影響を及ぼすB型肝炎ウイルス変異に関する検討
Project/Area Number |
18599003
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大川 和良 Osaka University, 医学系研究科, 助教 (80432540)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹原 徹郎 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (70335355)
平松 直樹 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (30362700)
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Keywords | B型肝炎ウイルス(HBV) / HBV変異 / 環状2本鎖(RC)HBV DNA |
Research Abstract |
本年度は主として環状2本鎖(RC)HBV DNA合成に影響を及ぼすHBV変異とB型肝炎の各種病態との関連についての臨床ウイルス学的検討を行った。B型慢性肝疾患者44例(慢性肝炎[CH]34例、肝硬変/肝癌10例[LC/HCC])とB型急性肝炎患者15例(急性肝炎[AH]9例、劇症肝炎6例[FH])を対象として血清サンプルからHBV全長の塩基配列を決定し、次いでRC HBV DNA合成に重要なシス領域であることが報告されているα領域(nt2817-2936)、γ領域(nt1909-2141)、δ領域(nt1373-1589)(J Virol2004;78:642-9,J Virol 2004;78:7455-64)における塩基置換の頻度を各症例において算出した。B型慢性肝疾患における検討では、α領域における塩基置換の頻度がCH群よりLC/HCC群において有意に高率であった(p<0.01)。また、δ領域では有意差はないもののやはりCH群よりLC/HCC群において高い傾向が認められた(p=0.05)。一方、B型急性肝疾患における検討では、α領域、γ領域における塩基置換の頻度がCH群よりLC/HCC群において有意に高率であった(p<0.05、p<0.02)。これらの領域における変異はRC HBV DAN合成効率を低下させる可能性が考えられ、中でもα、γ、δ3領域のうちα領域が最も強くRC HBV DNA合成に影響を及ぼすことが報告されている(J Virol 2004;78:7455-64)。α領域における変異がLC/HCC群やFH群においてより高頻度であったことより、HBV変異によって起こるRC HBV DNA合成効率の変化は、慢性肝疾患の進行や肝発癌もしくは急性肝疾患の重症化に密接に関与している可能性が考えられた。
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Research Products
(7 results)