2006 Fiscal Year Annual Research Report
集客スポーツを利用した都市活性化と地域変動:中核都市と周辺部に着目して
Project/Area Number |
18600001
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大沼 義彦 北海道大学, 大学院教育学研究科, 助教授 (70213808)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 和司 北海道教育大学, 教育学部, 助教授 (30229299)
鈴木 文明 市立名寄短期大学, 生活科学科, 教授 (90196866)
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Keywords | 都市 / プロスポーツ / 地域開発 / コミュニティ / メガイベント |
Research Abstract |
1.研究レビュー及び予備的考察のとりまとめ 欧米における理論的動向を探るため、文献研究を行った。とくに大都市以外で展開する米国マイナーリーグ研究(Johnson 1993)、および具体的コミュニティとプロスポーツとの関係を論じたInghamら(1987;2003a;2003b)に着目し、米国におけるコミュニティ研究との連関も視野におきながら検討した。そこで明らかになったのは、プロスポーツが都市に与える経済効果の限界、政治的エコノミー(political economy)分析への傾注、コミュニティへのインパクト研究がポジティブな結果をあげていないことであった。ここから政治的エコノミーや権力分析、ならびに社会構造分析の必要性が示唆された。以上の点は、予備的に実施された札幌市における商店街の事例研究も含め、学会報告、論文にまとめられた。 2.地域調査の実施 研究計画に沿って、北海道(札幌市、栗山町)、東北(仙台市、天童市、中山町)の基礎的なデータ収集を行い、地域毎の社会構造の把握に努めた。 具体的調査として、宮城県、山形県内におけるプロスポーツ団体、行政機関、関連団体、NGO/NPO等の機関調査(計12箇所)を行った。東北地方におけるプロスポーツについては運営そのものの困難さから、発足当初から行政を中心に地元企業、市民が深く関与してきたこと、それはまた大型スポーツ施設建設(国体施設、W杯施設、既存公共スポーツ施設)のあり方と不可分な関係にあったことが明らかとなった。ここから、都市の社会空間編成といった新たな問題構制が浮かび上がってきた。市民参加という側面からは、ボランティア組織が当初の「勢い」を急速に失いつつあり困難な局面を迎えている一方で、「集客」スポーツを利用した環境への取り組みの活性化(仙台市)といった動向を捕捉することができた。この点も新たな知見であった。
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