2007 Fiscal Year Annual Research Report
集客スポーツを利用した都市活性化と地域変動:中核都市と周辺部に着目して
Project/Area Number |
18600001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大沼 義彦 Hokkaido University, 大学院・教育学研究院, 准教授 (70213808)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 和司 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (30229299)
鈴木 文明 市立名寄短期大学, 児童学科, 教授 (90196866)
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Keywords | 都市 / プロスポーツ / 地域開発 / コミュニティ / メガイベント |
Research Abstract |
本研究の目的は、集客スポーツを通すことで見える新たな都市像に迫ることである。本年度の研究計画は以下の3点であった。尚、これらを遂行するにあたり関連する研究者を招聘した研究セミナーを開催した。 1、集客スポーツ分析-スタジアムの利用・管理とプロスポーツ:運営企業の側からする集客スポーツの諸条件を検討するため、プロ野球球団(仙台)、並びに企業スポーツチーム(山形)に対する機関調査を行った。その条件とは(1)人口規模、(2)スタジアムというマテリアルな条件の利用/営業権のあり方(スタジアム所有自治体とプロ球団との協定のあり様:宮城県)であった。特に後者においては、スポーツという内容以上にスポーツ空間のエンターテインメント性が重視される。そのため、スタジアムの利用/営業権自体がビジネス化の基礎的条件となっている点が注目された。またここでの主体が消費者(顧客)と措定される点も重要であった。 2、住民の応答分析-「応援する会」会員企業アンケート調査:今年度は、札幌(サッカー)、仙台(野球)の「応援する会」会員企業を対象にアンケート調査を実施した。その結果は、販売促進等の具体的な経済的効果は期待より下回ったとする回答が多く見られたものの、応援するには手頃な金額であり、顧客とのコミュニケーションの促進という面で期待にそっていた、というものであった。 3、集客スポーツに対する評価:(1)経済産業面に対する効果については、行政によって測定されているが、それら数値に対する過大な評価は見られなかった。(2)特に仙台においては、住民によるボランティア活動やNPO/NGO活動が盛んであり、これら主体が集客スポーツの場に積極的に関与している点が注目された。(3)集客スポーツの先には、Hanniganのいう"Fantasy City"(1998)、高橋のいう「再魔術化」する都市像(2006)が重なっていた。これらにより、従来の都市住民のスポーツ振興という文脈の再考が強く示唆された。
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