2006 Fiscal Year Annual Research Report
植物エストロゲンによる神経系の分化・発達過程におけるリスク評価のための基礎解析
Project/Area Number |
18602004
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
豊平 由美子 産業医科大学, 医学部, 助手 (90269051)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 敏子 産業医科大学, 医学部, 講師 (80141745)
南 浩一郎 自治医科大学, 医学部, 講師 (70279347)
坂巻 路可 西南女学院大学, 保健福祉学部, 講師 (80389486)
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Keywords | 植物性エストロゲン / カテコールアミン生合成 / チロシン水酸化酵素 / カテコールアミン分泌 / ノルエピネフリントランスポーター / 副腎髄質細胞 / ニコチン性アセチルコリン受容体 |
Research Abstract |
植物エストロゲンとして知られているイソフラボン類のゲニステイン(大豆)、ダイゼイン(大豆)、クメストロール(レッドクローバー)、フラボノール類のケルセチン(柑橘類、タマネギ)とトランススチルベン骨格を有するレスベラトロール(赤ワインポリフェノール)に関して交感神経系のモデルとして薬物の影響の解析に広く用いられている培養ウシ副腎髄質細胞を用いて、神経系の機能タンパク質への影響とその発現濃度ついて生化学的に検討した。 ダイゼイン、クメストロール、ケルセチン、レスベラトロール(10〜100μM)はニコチン性アセチルコリン受容体・電位依存性Naチャネル・電位依存性CaチャネルからのNa^+,Ca^<2+>流入を抑制することによりカテコールアミン分泌を抑制した。神経由来のニコチン性アセチルコリン受容体(α3β4)を発現させたアフリカツメガエル卵母細胞でもレスベラトロール(3〜100μM)はアセチルコリンにより誘発されるNa電流を抑制した。このような比較的高濃度でのイオンチャネル等への抑制作用はエストロゲンにおいても認められたものである。 チロシン水酸化酵素(TH)活性とカテコールアミン生合成をダイゼイン(10nM〜1μM)は促進した。この濃度はアジア系の人々において検出されうる血中濃度であった。ノルエピネフリントランスポーター(NET)機能をチロシンキナーゼ阻害作用のあるゲニステインやケルセチン(100nM〜10μM)は促進し、この作用は膜へのNETの発現を増加させた結果であった。 植物性エストロゲンが神経系の機能タンパク質に対して生体内で検出されうる濃度で影響を与えることが明らかになったので、THやNETの機能を指標としてカテコールアミン神経系の分化・発達過程でのリスク・影響について検討している。
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Research Products
(3 results)