2007 Fiscal Year Annual Research Report
プリオン蛋白質mRAN翻訳領域の選択的スプライシングに関する研究
Project/Area Number |
18602006
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Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
菊池 裕 National Institute of Health Sciences, 衛生微生物部, 研究員 (10234197)
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Keywords | プリオン / 選択的スプライシング / GPIアンカー / ハイポキシア |
Research Abstract |
プリオン病の発症機構解明を目的としてヒトグリオブラストーマ細胞株T98Gが発現するプリオン蛋白質(PrP)mRNAを解析し、PrPのC末端及びGPIアンカーシグナル配列を欠落したスプライス変異型PrP(GPI^-PrPSV)を産生することを報告した(Kikuchi,Y., et. al.,2008,FEBSJ.275,in press)。同様にウシ角膜細胞株BCE C/D-1bでスプライス変異を検索してGPIアンカーシグナル配列を欠損したPrPSVを同定し、PrP遺伝子の選択的スプライシングはヒト以外の動物種にも存在することを明らかにした。 次に、GPI^-PrPSV産生に関与する遺伝子を解析した。T98細胞の77週間継代後40日間培養(P77D40)ではGPI^-PrPSVを産生したが、2週間継代後40日間培養(P2D40)では検出されなかった。正常酸素濃度下(21%O_2)で培養したP77D40細胞では、total RNA中の低酸素誘導性因子-2α(HIF-2α)発現量がP2D40細胞の3.5倍に増加していたが、HIF-1αの発現量に変動はなかった。一方、P77D40細胞を低酸素条件下(2% O_2、4日間)で培養するとPrP mRNA発現量は減少し、GPI^-PrPSV mRNA発現量は増加した。HIF-2α mRNAの発現量は正常下の1/10以下に減少したが、HIF-1αの発現量に変動はなかった。通常、HIF-1α及びHIF-2αの発現量は正常下では変動せず、低酸素条件下で増加する。しかし、T98G細胞の長期間継代によりHIF-2α発現が上昇し、低酸素条件下では逆に減少した。長期間継代および低酸素条件下でGPI^-PrPSVの発現量が特異的に変動することから、PrP遺伝子の選択的スプライシングとHIF-2α発現の関連が示唆された。
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