2007 Fiscal Year Annual Research Report
DNA塩基成分の化学的変性を指標とした食品に照射された放射線の検出
Project/Area Number |
18602007
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Research Institution | Osaka Prefectural Institute of Public Health |
Principal Investigator |
尾花 裕孝 Osaka Prefectural Institute of Public Health, 食品医薬品部, 主任研究員 (60191970)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古田 雅一 大阪府立大学, 理学研究科, 准教授 (40181458)
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Keywords | 衛生 / 食品 / 放射線 / DNA / 検知 / 食品照射 / 5,6-ジヒドロチミジ / LC / MS / MS |
Research Abstract |
5,6-ジヒドロチミジン分析法の構築 植物系試料においても、DNA抽出、精製、LC/MS/MS測定などの5,6-ジヒドロチミジン(DHTDN)分析法を確定できた。植物系試料では、試験液への多糖類の混入が問題となったがグラファイトカーボン精製により排除できた。試験液中のヌクレオシド濃度では動物系の方が数倍高かったが、これは動物系試料でのDNA抽出効率が高かったためと推察された。 DHTDNの指標適性確認 植物系試料として黒胡椒を選び、γ線を照射し生成したDHTDNを分析したところγ線の線量との間に正の相関関係が認められ、5kGy以上の線量であれば照射履歴の検知が可能であると考えられる。脂肪が少なくアルキルシクロブタノンを検知指標にしにくいエビにおいても3kGyの照射を検知できる感度であった。また、5kGyの牛肉電子線を照射された牛肉においては、照射温度の違いによりDHTDN生成が大幅に異なり、冷凍条件下では室温昭射に比べ生成が大幅に減少した。しかし現在照射が許可されているジャガイモではγ線を0.1〜0.5kGy照射した時DHTDNの生成は不安定であり、発芽防止の実用線量レベルでの照射履歴の検知は困難であった。本研究の当初の目的は動物系、植物系といった食品試料の種類に関わらない検知指標を用いた食品照射検知法の開発であるか、検知指標としてDHTDNはその目標を達成できたか、検出感度という観点からはまた検討が必要と思われる。
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