2006 Fiscal Year Annual Research Report
睡眠障害発症機構の神経生理学的基盤を解明するための動物モデルを用いた基礎的研究
Project/Area Number |
18603002
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
本多 和樹 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教授 (70173656)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平井 恵二 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教授 (70156628)
片山 芳文 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (20014144)
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Keywords | 睡眠障害 / ノンレム睡眠 / レム睡眠 / ナルコレプシー / オレキシン / ドーパミン |
Research Abstract |
睡眠障害の発症にかかわる神経生理学的機構を理解することを目的として、1)正常ラットを用いたオレキシン神経伝達系の役割の検証、2)遺伝子変異による2種類の睡眠障害動物モデルを用いた睡眠解析を試みた。平成18年度の成果の概要は以下の通りである。 オレキシンはナルコレプシー発症の原因とされているが、その2型受容体(OX2R)のアンタゴニストとオレキシンAの組合せ投与によるOX2Rの睡眠覚醒調節における生理的役割について検証した。脳波、筋電図用の電極、第三脳室内連続注入用カニューレを慢性的に装着した正常雄ラットを用いた。オレキシンA(0.5nmol/h)を環境の明期に5時間かけて脳室内に持続投与すると、強い覚醒作用を発現した。OX2RアンタゴニストはオレキシンA投与の12時間前の23:00に脳室内投与を開始し、11:00から5時間投与のオレキシンAに拮抗させた。OX2Rアンタゴニストで前処置しておくとその覚醒作用が抑制されることが判明した。したがって、オレキシンの覚醒作用発現にOX2Rが深く関与していることが示唆された。 ナルコレプシーマウスおよびパーキンソン病マウスを用いて睡眠障害の神経生理学的機構の解明を試みた。ナルコレプシーモデルマウスはそのワイルドタイプに比べ、覚醒・ノンレム睡眠量はほぼ同じであるが、睡眠・覚醒の分断が起こりやすく、ヒトナルコレプシーと同様にカタプレキシーが出現した。19年度は覚醒薬投与によるナルコレプシー諸症状改善について検討する。 脳内ドーパミンが減少しているαシヌクレイントランスジェニックマウスは、パーキンソン病の動物モデルと考えられている。このマウスの睡眠データ解析から、夜間の覚醒持続時間の短縮が判明した。パーキンソン病で知られる睡眠障害のうち突発的睡眠やレム睡眠行動異常症の発現について、今後、ドーパミン受容体作動薬投与実験から明らかにしていく。
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