2007 Fiscal Year Annual Research Report
生薬、漢方薬、民間薬などの天然薬物の睡眠調節作用の解明
Project/Area Number |
18603008
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Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
内山 奈穂子 National Institute of Health Sciences, 生薬部, 研究員 (60392297)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
裏出 良博 (財)大阪バイオサイエンス研究所, 分子行動生物学部門, 研究員 (10201360)
小西 天二 同志社女子大学, 薬学部, 教授 (70102366)
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Keywords | 生薬 / 漢方薬 / 天然薬物 / 睡眠 |
Research Abstract |
本研究は、不眠に用いられている生薬、漢方薬、民間薬等の天然薬物の中から睡眠調節作用をもつ成分を単離、同定し、脳内の睡眠物質の濃度測定や睡眠覚醒障害モデル動物を用いた睡眠解析等を行うことで、その作用機構を解明することを目的とする。 沖縄県で不眠に用いられているユリ科植物アキノワスレグサについて、睡眠効果を検討する第一段階として本植物の根、葉および花の水抽出エキスを調製し、マウスの運動量に及ぼす効果を検討した。その結果、何れのエキスも投与7時間後の合計運動量を有意に減少させた。そこで、最も強い活性が認められた根の水抽出エキスについて、活性成分解明の目的で各種カラムクロマトグラフィーを繰り返し行い、化合物1-3を単離した。1-3は、各種スペクトルデータから、グルタミン酸誘導体であるoxypinnatanine(1)、longitubanine A(2)およびB(3)とそれぞれ同定した。この内、活性試験を行うに十分な量を単離した化合物1について、投与後の運動量を測定したところ、1は100mg/kg投与でマウスの運動量を有意に減少させた。したがって、1の鎮静効果が今回明らかとなった。 次に、本植物の根、葉および花における1の分布について、HPLCを用いて検討した。その結果、1は何れのエキスにも含まれることが明らかとなり、各エキスの活性に関与している可能性が示唆された。しかし、強い鎮静効果を示した根において、1の含量が最も少なかったことから、根の活性本体は1以外の化合物である可能性も考えられた。一方、本植物の睡眠効果を検討するため、根の水抽出エキス投与後のラットの脳波を測定したが、エキスはレム睡眠およびノンレム睡眠共に影響を及ぼさなかった。従って、活性本体および1の活性メカニズムの解明については、引き続き今後の課題である。
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Research Products
(3 results)