2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18604010
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
吉田 尚弘 The Institute of Physical and Chemical Research, アレルギー免疫遺伝研究チーム, チームリーダー (20281090)
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Keywords | アトピー性皮膚炎 / 遺伝子変異 / ランダムミュタジェネシス / 環境因子 / 皮膚のバリア機能 |
Research Abstract |
本研究ではランダムミュタジェネシスで作成したミュータントマウスプールから確立したアトピー性皮膚炎マウスの疾患発症に関わる修飾因子を検討した。まず、この系統においてはIgE高値を呈する症状とアトピー性皮膚炎発症とが独立した責任遺伝子によってコントロールされていると考えられたために、C3Hマウスとの交配による遺伝子マッピングで皮膚炎発症部位とIgE高値の表現型についてそれぞれ単独、および重複する個体について検討した。総数260匹の検討結果から、皮膚炎については染色体4番のある領域に同定できたが、IgE高値に関しては単一の遺伝子座への同定はできなかった。また、アトピー性皮膚炎が遺伝子因子のみならず、環境因子による影響を強く受けることは人間の疾患においてもマウスアトピー性皮膚炎モデルの検討においても強く示唆されている。環境による影響を検討するためにこれらのマウスをSPF環境からコンベンショナル環境へと移したところ、約3ヶ月後にはSPFでは症状を発現しない多数のマウスでアトピー性皮膚炎発症を確認できた。これらのことから、このアトピー性皮膚炎疾患モデルマウスにおける疾患発症は4番染色体の変異がhomoの場合はSPFで、heteroの場合はそのうち~20%がアトピー性皮膚炎様の症状を呈すること、清浄度の落ちるコンベンショナル環境ではheteroもほぼすべてが発症することが明らかとなった。当初の予測である、複数の遺伝子変異による影響の可能性についてはまだ否定されたわけではなく、引き続きIgE高値の表現型の原因遺伝子追及を続けるが、アトピー性皮膚炎が皮膚のバリア機能の破壊と免疫系のアレルギー傾向との複合で起こることが想像されていることから、このマウスが人間のアトピー性皮膚炎疾患モデルとしてより有用であることが明らかとなった。(成果は未発表であり、公表見合わせを希望する。)
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