2008 Fiscal Year Annual Research Report
中国中部内陸農村の開発と社会関係資本-湖西村落コミュニティの比較を通じて
Project/Area Number |
18606002
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田原 史起 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 准教授 (20308563)
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Keywords | 中国 / 中部内陸農村 / 開発 / 社会関係資本 / 村落コミュニティ |
Research Abstract |
平成20年度は本研究課題の最終年度にあたるため、研究代表者と連携研究者はそれぞれの分担に従って研究成果のとりまとめに集中してきた。加えて、現地への補充調査を一度ずつ実施し、随時ミーティングを行って内容を調整した。 その上で、まず、湖北農村の開発と社会関係資本については連携研究者の阿古が「水利・土地関係からとらえる中部内陸農村の社会関係資本」(『近きに在りて』2009年5月号掲載予定)を執筆した。この論考は、湖北X村の周辺でみられる農田灌概システムの崩壊、耕作放棄をした出稼ぎ者の帰郷と耕地返還要求、さらに娯楽・祝儀の習慣の変化から拝金主義的傾向などから、湖北のコミュニティでは総じて社会関係資本が衰退している現状についてリアルに描写したものである。他方、江西農村の開発と社会関係資本については、研究代表者の田原が、「道づくりと社会関係資本一中国中部内陸農村の公共建設」(『近きに在りて』2009年5月号掲載予定)を執筆した。そこでは、江西H村の周辺でみられた村民自身の力による小規模な道路建設をめぐる複数の事例を検討し、(1)現地における「出稼ぎ経済」、(2)道づくりの規模、(3)税費改革後の公的資金導入の可能性、などぶ複雑に絡み合い、コミュニティの社会関係資本、ひいては公共建設の成否に影響を与えている点を指摘した。 現在のところ、当初の最終員標であった「比較研究を通じた理論化」作業についてはまだ充分に展開されていないものの、これまでの湖北、江西両地の基礎データの蓄積・整理の上に立ちながら、最終成果報告書の執筆を目標として現在、体制作りを進めているところである。
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Research Products
(11 results)