2007 Fiscal Year Annual Research Report
超好熱始原菌における分泌関連因子の遺伝子破壊と形質評価
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18608002
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松見 理恵 Kyoto University, 工学研究科, 研究員 (90397597)
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Keywords | 分泌 / 遺伝子破壊 / 遺伝学 / シグナルペプチド / シグナルペプチドペプチダーゼ / トランスポーター / 始原菌 / 超好熱菌 |
Research Abstract |
大腸菌シグナルペプチドペプチダーゼ(SPP)のC末端領域と27%の相同性を示す遺伝子(TK1164)がT.kodakaraensisゲノム上から同定された。本遺伝子産物(SppA)は大腸菌SPPと同様N末端領域に膜貫通ドメインを有した。SppAはペプチダーゼ活性を示し、FRET基質に対する作用から本酵素は酸性アミノ酸を認識せず、P-1には側鎖の短いアミノ酸、P-3には疎水性・芳香族アミノ酸を認識することが分かった。これらの結果からSppAはシグナルペプチド中央部の疎水領域の切断に寄与すると考えられた。SppAとそのホモログ間で保存性の高い残基をアラニンに置換し活性測定した結果、SppAの活性にはSer162及びLys214が必須であり、本酵素はSer/Lyscatalytic dyadを利用していることが判明した。S128A、Y165A酵素は活性の増大や基質特異性の拡大が観察された。これらの残基はSPPが細胞内でシグナルペプチド以外のタンパク質を切断しないようにあえて活性を抑え、特異性を限定しているのではないかと考えられた。 さらにSppAと類似した構造を示すTK0130が同定された。その翻訳産物(SppB)はSppAと18%の相同性を示し、N末端付近に推定膜貫通領域を有し、実際に膜結合型タンパク質であることが分かった。SppBも酸性アミノ酸残基を含むペプチドを切断しなかったが、SppAと異なり、P-1/P-3は疎水性アミノ酸を、P-2は塩基性アミノ酸を強く認識した。これらの結果から、SppBはシグナルペプチドのN末端領域を認識し得ることが明らかとなり、SppAとSppBが協同してシグナルペプチドの分解に関与することが示唆された。SppAと同様な部位特異的変異を導入した結果、SppBはSppAとは異なるSer/His/Asp酸からなるcatalytic triadを活性中心にもつことがわかった。 また様々な遺伝学的解析を行ったところ、T.kodakaraensis内でマルトオリゴ糖の輸送に関与する唯一のtransporterも同定できた。
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