2007 Fiscal Year Annual Research Report
探索型臨床研究において利益相反問題が被験者の意思決定と人権に及ぼす影響の解析
Project/Area Number |
18612002
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長村 文孝 The University of Tokyo, 医科学研究所, 准教授 (90282491)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田原 秀晃 東京大学, 医科学研究所, 教授 (70322071)
大木 桃代 文教大学, 人間科学部, 准教授 (10306269)
長村 登紀子 東京大学, 医科学研究所, 講師 (90332585)
佐藤 典治 東京大学, 医科学研究所, 准教授 (90162461)
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Keywords | 利益相反 / 探索型医療 / インフォームド・コンセント |
Research Abstract |
当院での探索的臨床研究の被験者を対象にした試験では、臨床試験の資金源に関しては、ほぼ全員が「あまり気にならない」と回答した。特許については「少々気になる」「あまり気にならない」「気にならない」が同数であった。しかし研究的利益に関しては、全員「とても気になる」「少々気になる」と回答していた。これは2006年の米国臨床腫瘍学会における、初期臨床試験の参加者にとって、研究業績に関連するintrinsic COIの方が研究資金に関連するextrinsic COIよりも関心があるという報告と一致していた。国内外を問わず、TR参加者はTRやその責任医師に対して、学術臨床的利益を気にしている結果の表れといえる。また、ほぼ全員が、利益相反の情報は臨床試験に参加する上での意思決定には、あまりないし全く関係なかったと回答し利益相反の情報は参加における意思決定にはほとんど影響していなかった。資金源に関しては、半数が公的資金であるか否かの記載が必要であると述べていた。また、製薬会社が実施する場合であれば、ある程度詳細な記述も必要であるが、国などの公的資金であれば、その旨だけでよいという意見もあった。特許の帰属先に関しては、半数が帰属先の名称を記載する方がよいとしていたが、「詳しく知りたい場合には主治医に尋ねて下さい」程度でよいとする意見もあった。利益相反による不正行為防止は、監視活動により、経済的利益ならびに研究的利益ともに、「大丈夫」ないし「たぶん大丈夫」との評価を受けていた。これらの結果により、今後の必要事項・注意事項が明らかとなり、具体的な記載方法に関しても知見が得られた。臍帯血の提供者に関しては、意思決定には関与せず、あまり気にされない結果が明らかとなり「介入試験」における重要性が明らかとなった。遺伝子カウンセリングに関しては、回答そのものが得られないことが多く、有意な結果は得られなかった。
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Research Products
(20 results)