2006 Fiscal Year Annual Research Report
人を対象とする医学研究の法的生命倫理的あり方に関する実証的・比較法的研究
Project/Area Number |
18612004
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
丸山 英二 神戸大学, 法学研究科, 教授 (10030636)
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Keywords | 疫学研究倫理指針 / インフォームド・コンセント / 未成年者の同意 / ヒト由来試料 |
Research Abstract |
1.本研究では,医学研究の実態を踏まえて問題点を把握し,海外の状況を参照しつつわが国のあり方について検討することを目的としているが,平成18年度においては,文科省・厚労省の「疫学研究に関する倫理指針」の改訂を検討する「疫学研究指針の見直しに関する専門委員会」の委員となったこともあり,疫学研究のあり方について,自らの意見を再検討する機会を得た。具体的には,(1)年長の未成年者を対象とする場合の同意の問題に関して,16歳以上の者について,倫理審査委員会の承認を条件として,本人の同意のみで研究を実施できる可能性が認められたこと,(2)既存資料等の利用に関して指針の要件の整理がなされたこと,などの点に関して,他の委員の意見から現場の実情を把握するとともに,指針案の作成において幾ばくかの寄与をなすことができた。 2.研究用に提供されたヒト由来試料・資料により得られた知的財産権及び財産的利益をめぐる合衆国の判決(Greenberg v. Miami Children's Hospital)と,研究資源バンクに提供されたヒト由来試料に対する提供者,研究者,研究機関の権利関係をめぐるやはり合衆国の判決(Washington Univ. v. Catalona)について検討し,前者において研究者・研究機関が,後者において研究機関が,権利関係において優位に立っていることを把握した。いずれも第一審判決であるが,ヒト由来試料及びその研究から得られた権利・利益の帰属に関する検討をするための素材として貴重で,早期にその紹介を試みたい。 3.ヒト由来試料の採取に関するインフォームド・コンセントにおいて,試料の取扱いについてどこまで開示できるか,開示すべきかの問題,及びオーストラリアの医学研究ガバナンス体制に関して予備的考察を行った。19年度において検討を継続し,できるところから,取り纏めを行いたい。
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Research Products
(1 results)