2006 Fiscal Year Annual Research Report
微少環境の変化に伴う椎間板性疼痛の発現とそのメカニズムの解明
Project/Area Number |
18613005
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
笠井 裕一 三重大学, 医学部附属病院, 講師 (20242943)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
明田 浩司 三重大学, 医学部附属病院, 助手 (20422826)
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Keywords | 腰痛 / 腰椎 / 椎間板変性 |
Research Abstract |
【目的】椎間板組織は比較的少ない細胞数に豊富な細胞外マトリックス有する。その中で細胞周囲微小環境が細胞外マトリックスの恒常性を保つ上で重要な役割をしている。NG2 proteoglycan(以下NG2)は、細胞膜貫通型プロテオグリカンであり、近年、軟骨、骨でその発現が確認されている。また、NG2は細胞周囲マトリックスの主要成分であるVI型コラーゲンと結合し、また細胞膜上で成長因子に対する受容体の役割をも果すことが知られており、重要な細胞-マトリックス間相互作用の働きをしている。そこで、我々は、NG2が椎間板の細胞周囲微小環境に発現し、さらに椎間板変性の原因と大きな関連性をもつと仮説した。本研究の目的は、まず、椎間板でNG2の発現を確認し、さらに椎間板変性の初期および進行期におけるNG2の発現を比較検討することである。 【方法】ヒト死体脊椎より椎間板組織を採取し、髄核、線維輪細胞を分離培養(単層およびアルジネート3次元培養)した。NG2蛋白の発現は、免疫組織学およびWestern blotにて確認し、NG2 mRNAの発現はRT-PCRにて確認した。また、NG2の発現部位においては、抗β1-integlin,抗Keratan sulfate,抗type VI collagen抗体との2重免疫組織学手法にて検討した。さらに、椎間板変性度の初期および進行期の椎間板組織(5個体)を同一個体内にて採取し、NG2の発現レベルをWestern blotにて比較検討した。 【結果】培養椎間板細胞において免疫染色の結果、強いNG2の発現を認めた。また、Western blotにてNG2蛋白の発現を確認し、NG2 mRNAの発現もRT-PCRにて確認された。さらに、NG2はβ1-integlinが発現する細胞膜とKeratan sulfateが存在する細胞周囲マトリックスの間に存在することが観察された。また、VI型コラーゲンとは同一分布を示した。さらに、NG2の発現レベルは、5個体いずれにおいても、初期と比較し進行した変性椎間板でその発現が増強していた。 【結論】今回、我々はNG2がヒト椎間板の細胞周囲微小環境において発現すること確認した。そして、NG2は進行した変性椎間板組織において、その発現を増強させていた。NG2は椎間板変性の進行に対し、反応性に細胞周囲微小環境を補う働きをしている可能性を考えた。
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Research Products
(6 results)