2007 Fiscal Year Annual Research Report
痛みの慢性化における脊髄内アストロサイトの役割に関する研究
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18613006
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中川 貴之 Kyoto University, 薬学研究科, 准教授 (30303845)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
南 雅文 北海道大学, 薬学研究科, 教授 (20243040)
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Keywords | 慢性疼痛 / アストロサイト / 脊髄 / 中枢神経感作 / グルタミン酸トランスポーター / GLT-1 / 遺伝子導入 / グルタミン酸 |
Research Abstract |
炎症性疼痛モデルおよび神経障害性疼痛モデルラットの脊髄において、グリア型グルタミン酸トランスポーターGLT-1の総発現量および細胞膜画分における発現量の変化をwestcrn blot法により検討した。その結果、炎症性疼痛モデルラットの脊髄内においては、カラゲニン/カオリンの足底皮下注射、3時間後をピークとする一過性のGLT-1総発現量の減少が認められた。また、坐骨神経部分結紮により脊髄内GLT-1の総発現量に変化は認められなかったものの、細胞膜に局在するGLT-1量の二相性の減少が認められた。そこで、組換えアデノウイルスを用いてGLT-1を脊髄実質内に遺伝子導入し、炎症性痛覚過敏および神経障害性疼痛に対する影響を検討した。脊髄実質内にGLT-1遺伝子を導入したところ、急性の圧および熱侵害刺激に対する侵害受容閾値に変化は認められなかった。一方、カラゲニン/カオリン誘発炎症性痛覚過敏は、脊髄内GLT-1遺伝子導入により有意に抑制された。同様に、脊髄内GLT-1遺伝子導入7日後に坐骨神経部分結紮を施したところ、GLT-1遺伝子導入群では、神経障害性疼痛の誘導は認められなかった。しかしながら、坐骨神経部分結紮7日後あるいは14日後に、脊髄内にGLT-1遺伝子を導入し、既に惹起されたアロディニアに対する効果を検討したが、有意な変化は見られず、神経障害性疼痛の維持に対するGLT-1の寄与は小さいと考えられた。また、GLT-1-EGFP融合タンパク質を用いて、GLT-1の細胞内局在変化のメカニズムを検討した。アストロサイトのGLT-1は高濃度のグルタミン酸処置によって細胞内へと移行し、クラスター化することを昨年度までに明らかにしていたが、このメカニズムにはGLT-1を介して基質が取り込まれる際に共輸送されるNa^+イオンの細胞内への蓄積がトリガーとなっていることを明らかとした。
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