2006 Fiscal Year Annual Research Report
慢性疼痛の発症機序解明へ向けての一次知覚神経ナトリウムチャネルの機能解析
Project/Area Number |
18613008
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
緒方 宣邦 広島大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 教授 (80091255)
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Keywords | 慢性疼痛 / ナトリウムチャネル / 一次知覚神経 |
Research Abstract |
電位依存性ナトリウムチャネルは神経細胞の興奮を直接担っている膜タンパク質であり、9種類のサブタイプに分類される。これらはテトロドトキシン(tetrodotoxin ; TTX)に対する感受性の違いによって、TTX感受性および非感受性ナトリウムチャネルの二つのグループに分けられる。後根神経節(dorsal root ganglion ; DRG)ニューロンには、2種類のTTX非感受性ナトリウムチャネルサブタイプ(Na_v1.8とNa_v1.9)が発現している。TTX非感受性ナトリウムチャネルは、小型DRGニューロンに特異的に発現しており、痛覚の伝搬や疼痛の発現に重要な役割を果たしている。 炎症などで産生遊離されるプロスタグランジン(prostaglandin ; PG)は、疼痛過敏やアロディニアの発現に深く関与している。その作用のメカニズムのひとつとして、PG特にPGE_2がDRGニューロンにおけるTTX非感受性ナトリウム電流を増強し、それによってDRGニューロンの過興奮が引き起こされるという考えが広く支持されている。しかしながら、これらの結果が報告された当時は、Na_v1.9の存在が知られておらず、PGE_2のTTX非感受性ナトリウムチャネルに対する影響についてはまだ未解明な点が多い。そこで、本研究では、これまでに私達の研究で得られたDRGニューロンにおけるTTX非感受性ナトリウム電流に関する知見を基に、Na_v1.8およびNa_v1.9に対するPGE_2の影響を再検討した。 NA_v1.8およびNa_v1.9によって引き起こされる各コンポーネントのピーク電流値、活性化閾値、および活性化の電位依存性などのチャネルの性質は、いずれもPGE_2による有意な影響が認められなかった。本研究の結果はTTX非感受性ナトリウムチャネルとPGE_2の関連についての再検討が必要であることを強く示唆する。
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Research Products
(4 results)