2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18613012
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
犬童 康弘 Kumamoto University, 医学部附属病院, 講師 (40244131)
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Keywords | 先天性無痛症 / 先天性無痛無汗 / 遺伝性感覚自律経性ニューパチーIV型 / 神経成長 / 神経成長因子受容体 / チロシンキナーゼ型受容体 / TRKA / NTRK1 |
Research Abstract |
先天性無痛症は常染色体劣性遺伝形式をとるが、臨床的・病理学的に複数の病型があることが知られている。私たちは、先天性無痛症のなかで、温覚・痛覚の欠如に加えて自律神経の機能障害を合併する「先天性無痛無汗症」(CIPA)について研究を進めてきた。一方で、無汗症を伴わない先天性無痛症も報告されている。これまで、CIPAと無汗症を伴わない先天性無痛症では、それぞれ責任遺伝子が異なることを明らかにした。さらに、後者の原因解明をめざして、分子遺伝学的研究を進めた。しかし、最近になり英国の研究グループにより、その原因が末梢神経に特異的に発現するナトリウムイオンチャンネルをコードする遺伝子の機能喪失性変異であることを明らかにされた。そのため、CIPAについての研究に重点を移した。 今年度は、CIPAについてのシンポジウムに参加し、乳児期から成人にいたるまでの患者の表現型を実際に調査する機会を得た。また、そこに参加した家族や患者をサポートする医師や研究者と、CIPAの病態について意見を交換した。さらに、CIPAの責任遺伝子の産物であるタンパク質の機能や組織分布について、動物モデルにおいてこれまで報告されている結果を包括的に検討した。 ヒトと動物モデルの表現型は共通な点も見られる一方で、相違点も明らかになりつつある。このことは、先天性無痛症の病態を考える場合には、動物実験だけでなくヒトおける調査の重要性を示している。今後、CIPAの分子病態の解析をすすめることで、責任遺伝子産物であるタンパク質のヒトにおける正常機能を明らかにする。このことは、痛みのメカニズムの解明にも有用である。さらに、これらを基に遺伝子産物であるタンパク質分子を標的とした痛みの薬物療法の可能性を探る。
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