2007 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄疼痛制御機構におけるノシセプチンの相反性二重作用の解明
Project/Area Number |
18613015
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Research Institution | Tohoku Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
渡辺 千寿子 Tohoku Pharmaceutical University, 薬学部, 助教 (90296020)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桜田 忍 東北薬科大学, 薬学部, 教授 (30075816)
溝口 広一 東北薬科大学, 薬学部, 准教授 (30360069)
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Keywords | ノシセプチン / 疼痛伝達 / 鎮痛作用 / 神経制御 / 脊髄 |
Research Abstract |
研究代表者らはこれまでに、nociceptinの脊髄クモ膜下腔内(i.t.)投与による疼痛関連行動の発現には、ORL-1受容体の活性化を介した脱抑制によるhistamine神経系の活性化と、それによるsubstance Pならびにglutamateの遊離増加が関与していることを明らかにしている。NociceptinのN末端代謝物は脊髄においてnociceptin誘発疼痛関連行動を抑制することが報告されているが、新たにnociceptinのC末端代謝物、nociceptin(14-17)、niciceptin(13-17)およびnociceptin(12-17)が、脊髄においてnociceptin類似の疼痛関連行動を誘発することを発見した。これらC末端代謝物は共にORL-1受容体を直接刺激することなく疼痛関連行動を発現するが、nociceptin(14-17)は間接的にnociceptinの遊離を誘発することにより疼痛関連行動を発現するのに対し、niciceptin(13-17)およびnociceptin(12-17)はhistamine H_1受容体を直接的に刺激することによって疼痛関連行動を発現するといった違いが存在することが明らかとなった。この現象は、内因性ペプチドの代謝物がなんらかの機構により元ペプチドの遊離を誘発するといったホモローガスなポジティブフィードバック機構と、内因性ペプチドの代謝物が神経支配上において下流に存在する神経上の他の受容体に作用するといったヘテロローガスなポジティブフィードバック機構の、2種類の制御機構が生体内には存在することを示している。一方神経障害性疼痛モデルマウスにおいては、nociceptinやhistamineなどの疼痛伝達物質に対する感受性が亢進し、極めて低用量のi.t.投与によっても疼痛関連行動を発現することを発見し、その疼痛関連行動の発現にはhistamine神経系は関与しておらず、グリア細胞のNMDA受容体が関与していることを見いだした。さらに、cannabinoid受容体拮抗薬のi.t.投与により疼痛関連行動が発現することを発見し、内因性cannabinoidもまた脊髄における疼痛制御物質であることを明らかにした。
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Research Products
(6 results)