2007 Fiscal Year Annual Research Report
慢性疼痛機構の解明:脊髄ダイノルフィン系と転写因子p53との相互関連からの検討
Project/Area Number |
18613016
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Research Institution | Tohoku Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
丹野 孝一 Tohoku Pharmaceutical University, 薬学部, 准教授 (20207260)
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Keywords | モルヒネ / 鎮痛耐性 / システインプロテアーゼ / ダイノルフィン / 脊髄クモ膜下腔内投与 / マウス |
Research Abstract |
慢性疼痛の一つである神経因性疼痛の維持に脊髄ダイノルフィン系が関与している。神経因性疼痛とモルヒネ鎮痛耐性の発現機序は多くの点で類似性を有しており、ラット大脳皮質初代培養細胞によるダイノルフィンBの分解がモルヒネ慢性処理によって亢進し、この亢進はシステインプロテアーゼ阻害薬で抑制されることが報告されている。平成19年度はモルヒネ鎮痛耐性形成に及ぼすシステインプロテアーゼ阻害薬の効果について他のプロテアーゼ阻害薬と比較検討を行なったところ、以下の結果が得られた。 1.モルヒネ0.1nmolの脊髄クモ膜下腔内(i.t.)投与による鎮痛作用は、鎮痛測定2日前に30mg/kg、前日に60mg/kgのモルヒネを1日2回皮下投与することにより完全に消失し、鎮痛耐性が形成された。 2.モルヒネ反復投与毎の5分前にシステインプロテアーゼ阻害薬であるN-エチルマレイミドおよびBoc-Tyr-Gly-NHO-Bzをi.t.投与することによりモルヒネ鎮痛耐性は用量依存的かつ有意に抑制された。 3.セリンプロテアーゼ阻害薬のフッ化フェニルメタンスルホニル、アミノペプチダーゼ阻害薬のアマスタチン、エンドペプチダーゼ24.11阻害薬のホスホラミドンおよびアンジオテンシン変換酵素阻害薬のリシノプリルはモルヒネ鎮痛耐性に対し無影響であった。 以上の結果から、モルヒネ鎮痛耐性の形成には脊髄のシステインプロテアーゼ活性の上昇が重要な役割を担っており、システインプロテアーゼ阻害薬はモルヒネ鎮痛耐性の形成を抑制することを明らかにした。 なお、上記に示した結果はNeuropeptides(印刷中)に掲載される。
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Research Products
(9 results)