2007 Fiscal Year Annual Research Report
子宮内膜症における骨盤痛発症ならびに疼痛慢性化に関与する遺伝子の解析
Project/Area Number |
18613017
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
浅田 弘法 Keio University, 医学部, 講師 (60231883)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梶谷 宇 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (60407111)
丸山 哲夫 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (10209702)
吉村 泰典 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (10129736)
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Keywords | 子宮内膜症 / NGF / Trk A / p75NTR |
Research Abstract |
本年度も継続して、子宮内膜症患者から、同意を得た上で、,月経時の痺痛評価(visual analog scale)、子宮内膜症病巣の部位と広がり(rASRM)について臨床情報を得た上で、子宮内膜症病巣からの試料収集を行った。昨年度から継続して収集している試料もふくめて、NGFの発現と子宮内膜症病巣との関連性を検討した。本研究によって、子宮内膜症病巣において、正所性子宮内膜に比してNGFの発現およびCTGFの発現強度が著明であることを明確にした。NGFの定量的なmRNA測定においては、発現強度と臨床的指標(rASRMスコア、痺痛)との関連は明確ではなかった。しかし、子宮内膜症性嚢胞、腹膜病変、子宮腺筋症などに分類して発現強度解析を行ったところ、腹膜病変においてより著明なNGFの発現を認めた。一方、NGFレセプターである、TrkAおよびp75NTRについても同様の解析を行ったが、主たるレセプターである、TrkAの発現は子宮内膜症病巣周囲においてほとんど認められなかった。一方、p75NTRは腹膜病変、卵巣子宮内膜症、および、子宮腺筋症病巣にて発現を認めた。明確な機能は今後の解析が必要ではあるが、子宮内膜症の進展と痙痛の発症に対して、NGF-p75NTRが関与している可能性を示すことができた。また、子宮宇内膜症患者の腹水中のNGFについても検討を加えた。骨盤痛の程度との関連性は明確ではなかったが、子宮内膜症病巣がある患者においては、腹水中のNGFが陽性を示す比率が高いことが検出された。慢性骨盤痛を発症している子宮内膜症患者の一部にNGF-p75NTRのシステムが関与している可能性があり、今後、アンタゴニストをふくめた治療の可能性、および、慢性骨盤痛に子宮内膜症が関与している場合の補助診断にNGFが使用可能である可能性を明らかにすることができた。
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Research Products
(3 results)