2007 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄後角における痛覚伝達の可塑性機構に対するCD9の役割
Project/Area Number |
18613018
|
Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
馬場 広子 Tokyo University of Pharmacy and Life Science, 薬学部, 教授 (40271499)
|
Keywords | テトラスパニン / 痛覚 / 脊髄後角 / TRPチャネル / 後根神経節 / C線維 |
Research Abstract |
脊髄後角I,II層に集積するCD9の痛覚伝導路における役割を明らかにする目的で,下記の実験を行った.マウスでは,CD9は脊髄後角の他に顔面の痛覚に関係する三叉神経脊髄路核や感覚神経線維の自由終末に存在し,免疫染色上ではTRPV1の染色部位と一致する.DRGニューロンの単独の培養系でもCD9は細胞体およびその突起に存在する.そこで,このようなtetraspaninの分布が種を超えて保存されているかどうかを確認するため,ラットおよびヒトの脊髄標本を用いて分布を調べた.ヒトの脊髄標本は,新潟大学脳研究所高橋均教授との共同研究で解析を行った.その結果,ラットではCD9の分布は末梢神経ミエリン主体であり,マウスのような後角における集積は見られなかった.しかし,ヒトの脊髄後角では,マウスと同様の集積を認めた.従って,痛覚伝導路におけるCD9の分布自体には種差があることが明らかになった.tetraspaninは,異なるtetraspanin同士が複合体を形成して機能することが知られている.CD9と類似の機能を持ち,またCD9自体と複合体を形成するtetraspaninに,CD81とCD151が知られている.そこで,マウス後角におけるこれらのtetraspaninの分布を調べたところ,CD81とCD151のどちらも後角での集積は見られなかった.さらに,ラットの脊髄後角において,これらの類似のtetraspaninがCD9のかわりに集積しているかどうかを調べたところ,明らかな局在は見られなかった. CD9は胎生期からDRGニューロンに強く発現し,個体差があるもののCD9ノックアウトマウスのDRGは形態や細胞配列などに変化が見られ,感覚神経路の形成の段階から関わっている可能性が示唆された. 以上の結果に関して論文作製中である.
|