2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18613022
|
Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
芦高 恵美子 Kansai Medical University, 医学部, 講師 (50291802)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 誠二 関西医科大学, 医学部, 教授 (80201325)
|
Keywords | ユビキチン / プロテアソーム / グルタミン酸 / NMDA受容体 / 神経型一酸化窒素合成酵素 / 炎症性疼痛 / 神経因性疼痛 |
Research Abstract |
一次求心性線維の損傷に手伴い、神経化学的構造学的な可塑的変化がもたらされ、熱や機械刺激に対ずる痛覚過敏反応や接触や圧などの非侵害性刺激にまでも痛みを感じるアロディニアが誘発される。ポリユビキチン化されたタンパク質を認識し分解するプロテアソーム阻害剤を髄腔内投与すると、痛覚過敏反応やアロディニアが抑制されユビキチン-プロテアソーム系によるタンパク質の分解による痛覚制御を示唆するものであるが、その詳細は明らかではない。神経因性痛の発症には、脊髄後角の後シナプスにおけるクルタミン酸受容体のMDAや神経型一酸化窒素合成酵素(nNOS)の活性化が関与することを明らかにしてきた。そこで、L5脊髄神経切断マウスにおいて一週間後に形成される神経因性疼痛およびcomplete Freund'sadjuvantの後肢への投与一日後による炎症性疼痛において、NDA受容体NR1に対するユビキチンリカーゼであるFbx2、nNOSに対するユビキチンリガーゼ(HIP、後シナプス肥厚部の主要なタンパク質であるPSD95に対するユビキチンリガしゼMdm2、および脱ユビキチン酵素のUCHL1とUsp14の発現変化を検討した。その結果、炎症性疼痛こおいてFbx2の発現が、神経因性疼痛においてMdm2の発現が上昇していた。Fbx2は、NMDA受容体の活性化によってシナプスより細胞質や外シナプス移行したNR1をユビキチン化し、プロテアソーム系にて分解する。炎症性疼痛に伴うFbx2の発現上昇は、後シナプスにおけるNR1を減少させ、神経活動の減弱を導き、炎症性疼痛の治癒に関与している可能性が示唆された。一方Mdm2の上昇は、NNDA受容体の活性化によるPSD95のユビキチン-プロテアソームシステムによる分解を促進し、後シナプスにおけるAMPA受容体の減少を導き、神径因性疼痛の治癒に関与していることが考えられる。
|