2007 Fiscal Year Annual Research Report
一酸化窒素の慢性疼痛の診断・治療への応用のための基礎的研究
Project/Area Number |
18613023
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
阿部 哲也 Kansai Medical University, 医学部, 講師 (20411506)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松村 伸治 関西医科大学, 医学部, 講師 (70276393)
福永 幹彦 関西医科大学, 医学部, 准教授 (90257949)
中井 吉英 関西医科大学, 医学部, 教授 (00091281)
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Keywords | 一酸化窒素 / 神経因性痺痛 / 一次求心性線維 / NMDA受容体 / 脊髄 / 酵素組織化学 / イメージング / マウス |
Research Abstract |
疼痛は、その持続期間の長さから急性疼痛と慢性疼痛に分けて考えることが出来る。その病量を形成する要因としては、身体の器質的要因、機能的要因、心理的要因の3つが挙げられる。慢性化するにつれて、その病態に心理的要因の占める割合が大きくなることが多く、実際の臨床場面でも、検査で身体異常所見を認めないことから、治療者が「心因性疼痛」とみなしてしまう場合が多い。器質的・機能的障害に心理社会的因子が関与した病態と考える心身症としての見立てが有効となってくるのであるが、慢性疼痛患者の身体面での変化が解明される必要があり、NOの慢性疼痛の指標としての意義を明らかにすることを目的とした。 脊髄における神経型一酸化窒素合成酵素(nNOS)の活性化による一酸化窒素(NO)産生の増加が神経因性疼痛の維持に重要であること、nNOSの活性化にはNMDA受容体NR2Bサブユニットのチロシン1472残基でのリン酸化が重要であることを明らかにしてきた。本研究では、脊髄での神経可塑性を誘導するNMDA受容体-NO経路の機能的、可逆的変化について、ノックアウトマウスや各種プロスタグランジン(PG)、オピオイド、グルタミン酸アナログを用いて検討した。nNOS活性という生化学的な変化をNADPHジアホラーゼ活性(NADPH-d)を用いた酵素組織化学により組織学的に可視化、定量化して、それらのNO産生を神経因性疼痛の客観的指標にすることを成功した。さらに、NO自身が逆行性メッセンジャーとしてシナプス前終末に働きnNOS活性にフィードバックをかけていることを明らかにした。本研究でNOを慢性疼痛の客観的指標として示すことが出来たので、臨床応用に向けた新たな次の研究段階への道を開くことが出来た。
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Research Products
(9 results)