2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18639002
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
湊 長博 京都大学, 生命科学研究科, 教授 (40137716)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清野 宏 東京大学, 医科学研究所, 教授 (10271032)
斉藤 隆 理化学研究所, 免疫シグナル研究グループ, グループディレクター (50205655)
高濱 洋介 徳島大学, ゲノム機能研究センター, 教授 (20183858)
山本 一彦 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (80191394)
渡邊 武 理化学研究所, 免疫監視機構研究ユニット, ユニットリーダー (40028684)
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Keywords | 生体防御 / 免疫病 / 免疫応答 / 生体恒常性 |
Research Abstract |
免疫特定領域研究「免疫監視」の終了にあたり、新たに免疫領域における定研究を推進する妥当性、必要性、およびその領域研究内容につき、3回にわたる全班員による全体会議、その他有志班員による数回の個別テーマ会議を開き、十分な議論を検証を行った。今日残された最も重要な免疫研究課題の一つは免疫応答における自己識別の機構であり、とくにAIRE遺伝子の発見や腸内細菌との共生機構など免疫学的自己の形成について、新しいパラダイムが生まれつつある。また制御性T細胞研究、変異自己体細胞に対する特徴的な免疫応答制御様式研究は、大きな国際的展開を見せてきている。他方、多様な自己免疫性難病は、我が国のますます重要な医学的問題となってきているが、これらに対する抜本的な病因・病態解明と有効な治療法の確立は依然として進んでいない。このような社会的要請と免疫学研究の新しい国際的現況に鑑みて、我が国における免疫系の自己形成と識別に関する国際的先進的な研究者を集約し新しい研究領域を組織することによって、この残された免疫学の中枢的な課題に向け効率的な研究を推進し、もって多くのヒト自己免疫性難病の解明と克服をめざすことは、極めて重要かつ社会的必要性の高いものを考えられた。この研究推進にあたって、もう一つ非常に重要な要素は、基礎的研究により得られた重要な知見を、ヒトの疾患・病態制御へと有効に反映させるための新しい技術の開発である。これについては、細胞再生技術、ヒト化マウスの作成、人工免疫組織の形成など、極めて可能性の高い技術の創成が、世界に先んじて我が国において推進されてきている。新しい免疫領域研究においては、これらの新技術開発を有機的に組織化することも非常に重要であると考えられる。本企画研究においては、これらの議論の結果をふまえ、新規免疫特定領域研究「免疫系自己:その形成と識別」を提案することとし、この内容にもっともふさわしいと考えられる研究組織と研究課題の設定を行った。さらに、すでに関連領域で個別プロジェクトを推進しつつある3つのグループ(免疫病の疫学、小児遺伝性免疫病の解析、腸内細菌叢のゲノム解析)とも連絡をとり、綿密な連携体制をとくことで合意を得た。
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