2006 Fiscal Year Annual Research Report
韓国原爆被爆者に関する医学的・疫学的国際共同研究の企画調査
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18639006
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
岩永 正子 長崎大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助手 (00372772)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大津留 晶 長崎大学, 医学部歯学部附属病院, 助教授 (00233198)
朝長 万左男 長崎大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 教授 (40100854)
赤星 正純 財団法人放射線影響研究所, 臨床研究部, 部長(研究員) (30359450)
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Keywords | 国際研究者交流 / 韓国 / 原爆被爆者 / 検診データベース / 在外被爆者 / 健康調査 |
Research Abstract |
本企画調査は、長崎県の在外被爆者支援事業として平成14年よりおこなわれてきた在韓被爆者検診のデータを、医学的見地から解析するための準備を行うことを目的として実施した。韓国内で健康相談事業を委託されている大韓赤十字社の担当責任者や韓国内で被爆者検診を実施している現地病院の医師を交え、計4回の企画会議と2回の現地調査を行い、検診データの蓄積状況(総数1564名)・データ所有権・利用可能性について情報収集と協議をおこなった。日韓両国の医師の見解として「健康相談を実施した」というだけでは健康上の問題について十分把握したとはいえず、疾病発生率調査・日本人被爆者との相違など疫学・臨床医学に基づいた包括的な学術研究を行う必要性があるとの合意が得られ、データ解析を実際に遂行する韓国側医師研究者(ソウル赤十字病院医師)2名を決定した。もともと医学研究目的ではない検診データの医学研究への利用については、大韓赤十字社との数回の協議で正式調印を行うことで実施可能となった。検診データの質の問題として、検診項目・標準値の地域差・判定方法などについても協議した。検診の意義の問題として、韓国では確定診断を依頼した紹介先病院からのフィードバックの習慣がないという日本との医療システムの違いが判明し、疾病発生率調査を行う場合、調査方法に工夫が必要と考えられた。調査方法として、健康相談に付随してアンケート調査を行う案や郵送による調査案などが出された。健康相談に附随してアンケート調査を行う場合の具体的実施方法を検討するため、平成18年11月12日〜18日プサンで行われた健康相談(対象者:約350名)において、試験的に精神科医を交えた心の健康アンケート調査を行った。アンケート用紙はIES-R/GHQ12縮小版の韓国語翻訳を作成し、約30名に実施した。次年度より具体的な検診データの解析と疾病発生率調査を行う予定である。
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