2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18639014
|
Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
嘉山 孝正 山形大学, 医学系研究科, 教授 (50142972)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 純 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (40158449)
橋本 信夫 京都大学, 医学系研究科, 教授 (40135570)
鈴木 倫保 山口大学, 医学部, 教授 (80196873)
|
Keywords | 脳神経外科医 / 適正配置 / 脳卒中 / 実態調査 / 脳卒中専門医 |
Research Abstract |
近年、我が国の緊急医療を担う専門医不足が問題視されている。脳神経外科医も脳卒中や頭部外傷といった救急患者の多くを占める疾患治療の一翼を担っており、その適正配置は、地城の救急体制との関連で検討されなければならない。脳卒中は、脳神経外科だけでなく、神経内科、一般内科など、複数の診療科が関連すること、搬送先の医療機関に、脳卒中専門の常勤医がいない、夜間はCTスキャンが撮れないなどの理由で、急性期に適切な診断・治療がなされない可能性も危惧されるが、現時点では、その診療実態は不明と言わざるを得ない。脳卒中は、我が国の死亡原因の第2位で、年間死亡総数の16%を占め、また、入院の原因としても第2位、更に脳卒中患者の平均在院日数は119日と極めて長い疾患である。また、寝たきり老人の約4割、訪問看護サービス利用者の約4割が脳卒中患者であり、国民の医療費の約1割、1兆8千億円が1年間に脳卒中のために使われている。以上のように、脳卒中は日本の医療を考える上で極めて重要な対対象であることは論を侯たない。以上のような理由で、脳卒中に対する救急医療の実態調査を行った。病床数別にみると、病床数の多い施設ほど脳卒中を脳神経外科医が治療する傾向がみられた。このことより、脳卒中は病床数の多い総合病院に搬送されるべきと考えられた。疾患別にみると、くも膜下出血>脳出血>脳梗塞の順に脳神経外科医が治療にあたる頻度が高かった。もちろん脳梗塞や脳出血の場合にはその程度により内科医が治療にあたっても治療成績に大差ない場合もあるが、脳神経外科医の存在しない施設においても脳卒中の治療にあたっている施設があり、また、くも膜下出血などは脳神経外科医の存在しない施設においては治療困難と考えられ、脳卒中治療における問題点が浮き彫りとなった。今後の脳卒中治療の確立の一助となったと考える。(775字)
|