2006 Fiscal Year Annual Research Report
複雑なインターネットトポロジの観測に関する基礎的研究
Project/Area Number |
18650011
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
一井 信吾 東京大学, 大学院数理科学研究科, 助教授 (40203088)
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Keywords | 情報ネットワーク / ネットワークトポロジ |
Research Abstract |
本年度当初の研究計画に従い、まずインターネットトポロジの観測に利用されている手法の制約を評価し、シミュレーションにより得られた観測結果から想定される「真の」ネットワークトポロジの範囲を推定する課題に取り組んだ。トポロジジェネレータとしてBRITEを採用し、さらにその生成トポロジにランダムにリンクを付け加えて得られたトポロジについても検討の対象とした。ネットワークシミュレータとしてはns-2上のBGP実装であるBGP++を用いた。シミュレーションの結果、以下のことが明らかになった。(i)どのようなトポロジから出発しても、一点ないし数点の観測点でのBGPルーティング情報からは観測されないリンクが相当数存在する。(ii)特に、元のネットワークにおいて各ノードの次数が2以上という現実的な制約を課した場合でも、BGPルーティング情報上次数Iのノードが多数観測されてしまう。(iii)Barabasi-Albert型トポロジにランダムにリンクを追加した(従って次数がベキ乗則を満たさない)トポロジから出発した場合でも、BGPルーティング情報からはベキ乗則の次数分布が観測される場合がある。この結果を踏まえ次に上で生成したネットワークトポロジの上でルーティングプロトコルを動作させ性能評価を行う課題に進むべきで昂ったが、検討の結果、(iv)トポロジに還元されないネットワーク要素がダイナミクスに本質的な影響を与えることから、「何にでも使える」「真の」トポロジを求めるという発想自体に重大な欠陥があること、(v)同時に、特定の指標を再現するネットワークモデルによる性能評価等の帰結が普遍的に適用できる訳ではないことが明らかになった。なお合わせて統計的手法についての調査を行い、上記帰結を導くに資する情報を得た。
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