2006 Fiscal Year Annual Research Report
身体を基準とした操作座標系認知に関する神経科学的研究
Project/Area Number |
18650028
|
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
岡田 明 大阪市立大学, 大学院生活科学研究科, 教授 (30158810)
|
Keywords | 神経科学 / 認知科学 / ユーザインタフェース |
Research Abstract |
人は操作対象の入力方向と出力方向の対応を認識しながら機器の操作を遂行する.たとえばパソコン画面上のカーソルを下へ移動させるためにはマウスを手前に引き,AV機器の音量を上げるためにはノブを右に回すなど,入出力方向の対応関係が定められている.これらの対応は,ポピュレーションステレオタイプとして人間工学の分野で研究されてきたが,いずれも操作者と操作対象が正立方向に対面した状態で成り立つものである.しかし,操作機器の多様化に伴い,ウェアラブル機器や手のひらの中で操作する機械,あるいはロボットの遠隔操作など,操作者自身の身体を基準とした上下左右と操作対象のそれらが対応しない状況下では,操作方向の認知が困難となりエラーを誘発しやすい.この点に着目し,こうした状況下での認知しやすい入出力方向の対応関係や認知的負担を,主として操作成績に基づき明らかにしてきた.本研究は,それら認知的負担をさらに脳内の神経活動の変化から捉え,神経科学的レベルから自己の身体を基準とする操作方向の認知過程を明らかにするものである. 実験は,身体に対して様々な位置や方向に設置された4つのキーのうち,コンピュータからランダムに発せられる「上」「下」「右」「左」の音声指示に対応したキーを押すという操作タスク遂行時の脳内での活性化部位をfMRIにより捉えようとするものである.上下反転座標系や左右反転座標系での方向指示操作は通常の座標系に比べて認知的負荷は高まり,そうした状況下での脳内活性化部位の同定を試みた.これまで4名の実験協力者による予備計測を終了し,解析を行っている.また,空間分解能に優れたfMRIに加え,あらたに時間分解能に優れたNIRSによる計測も試み,すでに予備的な実験も開始している. 平成19年度はすでに実施したfMRI計測の解析を継続するとともに,さらに実験協力者を増やしての本実験を遂行する予定である.
|
Research Products
(2 results)