2006 Fiscal Year Annual Research Report
非整数次フーリエ変換に基づく数値的フレネル変換アリゴリズムの開発と応用
Project/Area Number |
18650035
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Research Institution | Kitami Institute of Technology |
Principal Investigator |
原田 康浩 北見工業大学, 工学部, 助教授 (80198928)
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Keywords | 暗号・認証等 / アルゴリズム / 応用光学 / 情報基礎 / 情報システム / フレネル回折 / フレネル積分 |
Research Abstract |
本研究では,光波伝播現象を基礎としつつ,従来の方法とは異なる新しい発想に基づいた高速性・高セキュリティ性を有する暗号化アリゴリズムを開発するとともに,それを計算機コード化し,新しい画像情報の暗号化/復号化法および電子透かし埋込み/抽出法を確立することを目的とする.その基礎は光波のフレネル回折現象に基づくが,この現象を新しい数学変換概念である非整数次フーリエ変換(fractional Fourier transform)によって表す立場に立ち,その普遍性,高拡張性を利用して,より高セキュリティ・高速処理可能な画像情報の暗号化/復号化アルゴリズムを提案し,その実用化を目指す. 平成18年度は,上記の目的を達成する第一段階として,「数値的2次元フレネル回折積分への非整数フーリエ変換の適用とコード化」と「従来のフーリエ変換法およびコンボリューション法との精度・高速性の比較と性能検証」の2点を実施し,それぞれ次の知見を得た. 1.数値的2次元フレネル回折積分への非整数フーリエ変換の適用とコード化 ・これまでの1次元の関数を対象としたフレネル回折積分と非整数次フーリエ変換の対応関係の理論を再構築し,2次元における類似性を理論的に明らかにした. ・導出した理論に基づいて,高速フーリエ変換を用いた非整数次フーリエ変換に基づく数値的2次元フレネル変換のアルゴリズムを開発し,そのコード化を実現した. 2.従来のフーリエ変換法およびコンボリューション法との精度・高速性の比較と性能検証 ・矩形開口を対象として,従来から定評のあるフレネル積分の近似式による計算結果と開発アルゴリズムの計算結果を比較した. ・その結果,本研究で開発したアルゴリズムによる結果は,基準の方法による結果と同等の精度の回折複素振幅を与えることがわかった. ・フーリエ変換法とコンボリューション法による結果が,データ点数と想定する波長によって決まる回折距離を境にして,それぞれ近距離および遠距離で正しい計算結果を与えないのに対し,開発アルゴリズムではその制限を受けず,あらゆる距離のフレネル回折場強度が計算できることが実証された.
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