2007 Fiscal Year Annual Research Report
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18650069
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
藤井 直敬 The Institute of Physical and Chemical Research, 象徴概念発達研究チーム, 副チームリーダー (20392095)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡ノ谷 一夫 独立行政法人理化学研究所, 生物言語研究チーム, チームリーダー (30211121)
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Keywords | NIRS / 香道 / 前頭前野 |
Research Abstract |
嗅覚刺激は、視覚や聴覚のように、通常我々ヒトが高度な情報処理を行わない知覚刺激である。一方視覚や聴覚刺激は、複雑な処理を行った後、脳内部でイメージとして取り扱うことができる。本研究課題では、「香道」という日本特有の文化を用いて、香り情報の脳内情報構造化の仕組みを明らかにする。また嗅覚課題と同様に、聴覚、味覚刺激の弁別課題を用い、香りの情報構造化の仕組みの刺激特異性を明らかにする。本年度は、19年度から継続して熟練者と初心者の2グループからの脳活動記録を行った。記録終了後、得られたデータをもとに、解析を始めた。まず、初心者、熟練者ともに聞香中の前頭前野は有意な活動を見せた。しかしながら、熟練者の前頭前野の活動は初心者のそれと比べて明らかに組織立っており、被験者によらない一定の傾向が観察された。さらにこの脳活動は、右半球と左半球で異なっていた。熟練者の右半球は、聞香中に香りの種類を問わず、いつも一定の活動様式をみせた。一方、左半球では、聞香中に香木特異的な選択性を示す脳活動が記録された。さらに、聞香中の初期には、客観的な正しい香り弁別能を示したのに対し、後半になると、主観的な香り弁別能へと移り変わる様子が見られた。すなわち、これらの結果から、熟練者の前頭前野では、左半球と右半球で異なるタイミングで異なる機能を実現しており、しかもその両者の統合により香りの言語的処理が行われているということが示唆された。
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